細胞間脂質・NMF・皮脂膜の特徴と働き|肌の潤いを保つために欠かせない3つの保湿因子

「細胞間脂質」「NMF」「皮脂膜」という言葉を聞いたことがありますか?

これら3つは、私たちの肌が潤いを保つために欠かせない大切な要素です。

そのため、この3つの要素は「肌の保湿因子」と呼ばれています。

これら3つの保湿因子は、実は私たちの肌自身がつくり出しているものなのです。

本来、私たちの肌は自らで保湿因子を作り出し、肌の潤いを保つ機能をもっています。

この記事では、それらの保湿因子の働きや、肌質との関係などをお伝えしていきたいと思います。




1. 3つの保湿因子

一言で「肌」といってもクレープの様な一枚の皮ではなく、ミルフィーユの様にいくつもの層が重なってできています。

例えば、肌の一番外側にある「角質層」は、約0.02mmとラップ1枚分くらいの厚さしかありません。

でも実は「角質細胞」と呼ばれる無数の細胞がレンガの様につみ重なり、約10~20もの層を作り上げています。

そして、今回の記事のテーマである「3つの保湿因子」は、この角質層に存在しています。

つまり、肌の保湿因子と呼ばれる「細胞間脂質」「NMF」「皮脂膜」は角質層(肌)に潤いを与え、潤いを保つ働きをしています。

ではこの3つの保湿因子が、具体的にどのような特徴や働きをもっているのかを見てみましょう。

細胞間脂質

細胞間脂質とは

細胞間脂質とは「細胞」の「間」にある「脂質」の総称名です。

角質層を構成している角質細胞同士の間にある脂質です。

角質細胞がレンガだとすると、細胞間脂質はレンガとレンガをすき間なく、くっつけてくれるセメントの役割をしています。


出典:kao.com

つまり細胞間脂質は、角質細胞と角質細胞のすき間を埋める働きをしています。

そのため「角質細胞間脂質」ともいわれます。

● 細胞間脂質の構成成分
  • セラミド ⇒ 細胞間脂質の主成分で約50%の割合を占めている
  • コレステロール
  • 遊離脂肪酸

などにより構成されています

● ターンオーバーの過程で作られる

細胞間脂質は、ターンオーバーの過程で作られる物質です。

ターンオーバーとは、肌をつくりだすシステムのことです。

詳しくはこちらの記事もご参考にしてください。

美肌ケアやニキビ跡の治療の際によく目にする「ターンオーバー」。ターンオーバーが不調だと、せっかくの日々のスキンケアの効果が無駄になる...

「新陳代謝」の方がピンとくる方も多いかもしれませんが、ターンオーバーも同じ意味をもつ言葉です。

このターンオーバーにより、私たちは常に新しい肌をつくりだしています。

ターンオーバーは肌の表層部にある「表皮」でおこなわれています。

さらに表皮は内側から「基底層」「有棘層」「顆粒層」「角質層」にわけられ、基底層では日々、肌となる細胞が生まれています。

基底層で生まれた細胞は「基底層」→「有棘層」→「顆粒層」→「角質層」と新しい細胞に下から押し上げられるように移行していき、最後は垢となって剥がれ落ちていきます。

細胞間脂質は、このターンオーバーのうちの顆粒層から角質層に移行する過程でつくられています。

細胞間脂質が作りだす特殊なラメラ構造とは

細胞間脂質は「ラメラ構造」という特殊な構造で角質細胞と角質細胞のすき間を埋めています。

ラメラ構造とは、水分の層と脂質の層が交互に重なりあった構造のことをいいます。

脂質⇒水分⇒脂質⇒水分⇒脂質というように、脂質と脂質で水分を挟み込んでいる状態です。


出典:jp.rohto.com

細胞間脂質は脂質(油)でありながら、水にもなじみやすい性質をもっているため、水分を弾くことなく、がっちりと挟み込んで水分をキープすることができます。

このラメラ構造なくしては、細胞間脂質の驚くべき働きは成り立ちません。

細胞間脂質の働き

細胞間脂質は次のような働きを担っています。

● 角質層のバリア機能をたすける

細胞間脂質により、角質細胞がすき間なく積み重なってできた角質層は、外から細菌や紫外線・水分などの異物が肌の中に侵入するのを防ぐ防御壁として体を守っています。

さらに、体内の水分が外に逃げることも防いでいます。

この「入れない・出さない」という二面性をもった機能を「バリア機能」といい、角質層がもつ重要な機能の1つです。

逆に細胞間脂質が不足し、角質細胞同士の間にすき間ができてしまうと、そのすき間から異物は侵入しやすくなり、体内の水分も外に逃げてしまいます。

つまりこの角質層がもつバリア機能は、細胞間脂質の状態によって影響をうける機能だといえます。

● 角質層の水分を保つ

細胞間脂質は、ラメラ構造により角質層の水分を挟み込むように保持しています。

また、角質層の潤いを保つために非常に重要な働きもしています。

細胞間脂質の不足は、肌の乾燥を招きます。

特に細胞間脂質の主成分であるセラミドは、強力な保湿力をもつため非常に重要な成分です。

細胞間脂質の減少

細胞間脂質は加齢やターンオーバーの乱れにより、減少するといわれています。

ターンオーバーは加齢にともない遅くなります。

また、ストレスやお手入れ方法・生活習慣などによりターンオーバーが遅れたり、逆に早くなり過ぎることがあります。

ターンオーバーは、遅くても早くても健康な肌を作り出すことができなくなります。

それにともない、細胞間脂質も十分に作ることができなくなり減少してしまうのです。

NMF

NMFとは

NMFとはNatural Moisturizing Factorの略で、日本語では「天然保湿因子」と呼ばれています。

NMFは角質細胞内にある水溶性の物質です。


出典:moltolice.co.jp

●NMFの構成成分
  • アミノ酸 ⇒ NMFの主成分で約40%の割合を占めている
  • ピロリドンカルボン酸
  • 乳酸
  • ナトリウム
  • カリウム

などにより構成されています

● ターンオーバーの過程で作られる

細胞間脂質と同じように、ターンオーバーのうち顆粒層から角質層に移行する過程でつくられています。

NMFの働き

● 角質層の水分を保つ

NMFは角質細胞の中にあり、水分と非常になじみやすい物質です。

さらに吸湿性に優れているため、水分を抱え込むようにして角質細胞自身を潤してくれています。

NMFの減少

NMFも細胞間脂質と同じように、ターンオーバーの乱れなどにより減少してしまいます。

皮脂膜

皮脂膜とは

皮脂膜とは「皮脂腺から分泌された皮脂と汗腺から分泌された汗」が肌表面に広がってできた膜のことです。

薄さは約0.5ミクロン(0.0005mm)驚きの薄さですが、この皮脂膜が肌表面を覆いさまざまな働きをしてくれています。

● 皮脂膜のpH

pHとは、その物質が酸性かアルカリ性かを示す指数のことです。

pHは0~14まで目盛りがあり、pH7を中性とし、それ未満を酸性、それ以上をアルカリ性としています。

pH7より値が小さくなればなるほど酸性の性質が強く、値が大きければ大きいほどアルカリ性の性質が強くなります。

ところで、「お肌は弱酸性」と聞いたことがありませんか?

テレビCMでも流れていますが、実はこの弱酸性は皮脂膜のphを指しているんです。

肌表面を覆う皮脂膜は、おおよそpH4.5~6.5の弱酸性に保たれています。

また、この皮脂膜のpH値は、性別、年齢、季節、肌質などによって変動します。

皮脂膜の働き

皮脂膜には次のような働きがあります。

● 皮脂膜は天然の保湿クリーム

皮脂膜は「天然の保湿クリーム」とも呼ばれています。

角質層の上から蓋をするように膜を張り、角質層の水分が蒸発するのを防いでいます

また、肌に柔軟性やなめらかさを与えてくれます。

● 角質細胞の必要以上の剥離を防ぐ

角質細胞はターンオーバーにより、最後は垢となり剥がれ落ちていきますが、必要な角質細胞までもが剥がれないように糊づけのような働きをしています。

● 異物の侵入や外からの刺激を防ぐ

皮脂膜は、外からの細菌など異物の侵入や刺激を防ぎ、体内を保護しています。

● 菌の繁殖を防ぐ

皮脂膜を弱酸性に保つことで、酸性の環境下に弱いとされる菌の繁殖を防いでいます。

皮脂膜の不足

皮脂膜は材料となる皮脂の分泌が少ないと、皮脂膜をつくることができなくなります。

皮脂分泌は加齢・季節などにより減少しやすく、それにともない皮脂膜も不足しやすくなります。

ここまで3つの保湿因子の特徴や働きをみてきました。

どの要素も肌の潤いを保つために必要不可欠なものですが、その中でも特に細胞間脂質が角質層の水分保持に大きく関わっているといわれています。

以下は、角質層の水分保持を担う割合です。

  • 細胞間脂質: 80%
  • NMF: 16〜17%
  • 皮脂膜: 2〜3%

このように細胞間脂質がメインとなり、私たちの肌は潤いを保つように働いてくれています。

みなさんのお肌は、どうでしょうか。潤いを感じられていますか?

乾燥している、乾燥も感じるし、ベタつきもある・・人それぞれ肌質は違います。

ここからは、みなさんの肌質と照らし合わせながら、3つの保湿因子に過不足がないかや肌質別のスキンケアのポイントなどをご紹介していきます。

2. 4つの肌タイプと保湿因子の関係

「肌質の診断方法・自分の肌質をチェックして正しくスキンケアしましょう」の記事で詳しく書かれていますが、私たちの肌は大きく分けると4つのタイプに分けられます。

それが「普通肌」「乾燥肌」「脂性肌」「混合肌」の4タイプです。

肌タイプは、角質層のもっている水分量と皮脂の量の割合で性質がきまります。

ご自身の肌質を知りたい方は、上記の記事に肌の診断方法も載っているのでチェックしてみてください。

では、肌タイプごとの特徴とスキンケアのポイントをみていきましょう。

① 普通肌

● 水分と皮脂のバランスがとれている肌

つまり、保湿因子により角質層の水分は保たれ、健康な肌の状態だといえます。

バリア機能が働き、トラブルの起きにくい肌質です。

肌をみると潤いがあり、しっとりとしていて、なめらかでキメも整っています。

● 皮脂膜は弱酸性

皮脂膜も弱酸性に保たれ安定しているといえます。

普通肌は季節によっては、カサついたり、ベタつきがでたりと変化しがちです。

健康な肌とはいえ、不規則な生活や間違ったスキンケアを続けてしまうと、別の肌タイプになってしまいます。

● スキンケアのポイント

基本的には、今おこなっているケアで良いでしょう。

ただ、普通肌の場合でも水分や栄養が不足している場合があるので、化粧水や美容液などによって十分に補うことが大切です。

② 乾燥肌

● 水分も皮脂も少ない肌

保湿因子の不足によりバリア機能が低下しているため、水分の不足と水分保持ができにくい状態です。

また、皮脂膜の材料となる皮脂が少ないため、皮脂膜が不足し角質層の水分が蒸発しやすくなっています。

肌は潤いや柔軟性がなくなり、カサつきやくすみ、白い粉をふいた状態になりがちです。

● 皮脂膜はアルカリ性に傾きやすくなっている

健康な肌のpHを基準とすると、乾燥肌はアルカリ性側(6.5)に傾いています。

アルカリ性に傾くと、菌が繁殖しやすくニキビや炎症などトラブルが起きやすくなります。

乾燥肌はバリア機能が低下しているため、異物が侵入しやすい状態です。

例えば異物が紫外線であれば、肌の奥まで届きやすくなりシミの原因にもなります。

また化粧品も体からすると異物であるといえます。

化粧品が肌の奥まで侵入しやすくなっているため、しみる、ピリピリする、かぶれるなどの反応が出てしまいます。

つまり、バリア機能が低下すると刺激に対して敏感になってしまいます。

そのため、乾燥肌の進行が敏感肌になる要因ともいわれています

● スキンケアのポイント

正しい保湿ケアが重要となります。

水分をしっかり補い、水分が蒸発しないように油分で蓋をしていきます。

特に細胞間脂質の主成分であるセラミドは、保湿力に優れています。

乾燥肌の方は、セラミド配合の化粧品を選ぶとよいでしょう。

皮脂は、血行を良くすることで分泌を促進することができます。

スキンケアの前にホットタオルで顔や肩~首を温めたり、クリームをぬるついでに摩擦に気をつけながら、軽くマッサージを行うと血行が良くなり皮脂の分泌が促されます。

また、体内の水分が不足していると肌も乾燥しやすくなります。

1日2Lを目安に、こまめにお水を飲みましょう。

③ 脂性肌

● 水分も皮脂も多い肌

角質層の状態は比較的よいともいえますが、水分も皮脂も多いため、皮脂膜が厚くなっています

そのため全体的にベタつきを感じやすい肌質です。

脂性肌は顔全体のテカリや、皮脂で毛穴がつまりニキビができやすくなります。

また、皮脂のベタつきにより埃や汚れが付着しやすく雑菌が繁殖しやすいため、ニキビの悪化にもつながります。

● 皮脂膜は酸性に傾きやすくなっている

脂性肌は、乾燥肌とは逆に酸性側(4.5)に傾いています。

● 皮脂膜が酸化しやすい

皮脂膜に含まれる脂質は、紫外線や空気などによって酸化しやすく、肌に有害な刺激となります。

そのため酸化した皮脂膜が長時間付着していると、カブレや炎症・赤ら顔の原因にもなります。

脂性肌は皮脂膜が厚くなっているため、皮脂による肌トラブルが起きやすい肌といえます。

● スキンケアのポイント

余分な皮脂を取り除くために、正しい洗顔を実践しましょう

正しい洗顔の方法についてはこちらの記事も参考にしてみてください。

「正しい洗顔ってどんなやり方なんだろう?」と疑問に思ったことはありませんか?洗顔とは、肌にとって必要不可欠なケアのこと。正し...

油分の少ない化粧品を選びましょう。

脂性肌の方は外側からのケアだけではなく、内側からのケアも意識しましょう。

その理由は、皮脂の分泌が過剰になる原因が体の内側にあることが多いからです。

そのためには、食生活や生活習慣を見直すことも大切なポイントです。

ストレスや糖質・動物性脂肪を多く含む食事は、皮脂の分泌を過剰にしてしまいます。

上手にストレスを発散させながら、バランスの良い食生活を心がけましょう。

④ 混合肌

● 肌の部位によって肌質が異なる肌

混合肌は、日本人に一番多い肌タイプだといわれています。

一般に混合肌は、Tゾーンは皮脂が多く、頬などは乾燥するといった「脂性肌+乾燥肌」タイプを指すことが多いです。

しかし、実は他にも「普通肌+脂性肌」「普通肌+乾燥肌」が混合している方もいます。

環境の変化などによって、他の3つの肌タイプの方も混合肌になる可能性があります

● スキンケアのポイント

肌の部位によって水分・皮脂・皮脂膜の状態がちがうため、部分ごとに肌質にあわせたケアが必要になります。

乾燥性脂性肌(インナードライ肌)を知っていますか?

4つの肌タイプにくわえて、近年よく耳にすることが増えた「インナードライ肌」

この乾燥性脂性肌は、肌表面は脂性肌、肌の内側は乾燥肌の状態です。

肌は水分が不足すると、皮脂の分泌を増やし潤そうとします。

そのため、本当は水分が不足しているのに、皮脂が多い「脂性肌もどき」ともいえる肌タイプです。

肌表面はテカリやベタつきを感じやすく、脂性肌のトラブルと同じようにニキビや皮脂の酸化による肌トラブルが起こりやすくなります。

● スキンケアのポイント

今まで脂性肌向けのケアをしていたけど、「肌質の改善が見られなかった方」「余計に皮脂が増えたという方」は、乾燥性脂性肌の可能性が高いと思われます。

乾燥が原因で皮脂量が増えているため、乾燥肌と同様の保湿ケアをすることが大切です。

3. まとめ

今回は、肌の潤いを保つための3つの保湿因子と肌質との関係などをご紹介してきました。

私たちの肌に備わっている様々な働きを知ることは、正しいスキンケアを行う上でとても大切なことです。

自分の肌に興味をもつことが、健康で美しい肌をつくる第一歩になるでしょう。

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