最近よく聞くインナードライ肌。
「カサつくのにニキビができる」
「メイクのノリが悪く、すぐに崩れる」
など、肌トラブルも起きやすく悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
実は日本人女性の8割がインナードライ肌になっている可能性があるともいわれています。
多くの女性に潜むインナードライ肌とはどんな肌なのか、改善方法やスキンケアもご紹介していきましょう。
1. インナードライ肌とは?
インナードライ肌とはどんな肌のことでしょうか。
実は言葉のとおりで「インナー」が「ドライ」つまり、肌の内側が乾燥している肌のことです。
では、インナー=肌の内側とは、肌のどこのことなのでしょうか?
その答えは「角質層」です。
つまり、インナードライ肌は角質層が乾燥している肌のことを表現しています。
乾燥肌ってこと?と思うかもしれませんが、インナードライ肌は乾燥肌とは違い、角質層の水分は少ないのに皮脂の分泌は多いという特徴があります。
そのため、肌表面は皮脂でしっとりしているように見えて、肌の内側は水分が不足して乾燥している状態です。
「肌表面は脂性肌」でも「肌の内側は乾燥肌」この特徴を持つ肌質のことをインナードライ肌といいます。
では、なぜインナードライ肌になってしまうのでしょうか?
インナードライ肌になる原因をみていきましょう。
2. インナードライ肌の原因
まず始めに角質層の説明を簡単にしていきます。
角質層とは
- 角質層は肌の一番外側にある
- 厚さは約0.02mmで角質細胞からできている
普段私たちが「角質」と呼んでいるのは、この角質細胞のことです。
角質層は無数の角質細胞(角質)が、レンガのように積み重なってできている層です。
角質層の働き
角質層は肌の一番外側にあるため、常に外からの刺激にさらされています。
私たち人間は、角質層がなくなったら24時間以内に死んでしまうとも言われています。
角質層は0.02mmほどの薄い層ですが、体や肌を守る防御壁として重要な存在です。
● バリア機能
角質層には、菌や水分や紫外線などの異物を体内に侵入させない働きと、体内の水分を外に出さないようにする働きがあります。
この「入れない・出さない」の二面性をもつ機能のことをバリア機能とよび、様々な刺激から体を守るために働いています。
● 水分保持機能
私たちの角質層には、ターンオーバーによって作られた角質層の水分を保つための物質があります。(セラミドやNMFなど)
セラミドなどの働きにより角質層に水分を与え、それと同時に水分が逃げないように保つ働きを水分保持機能といいます。
一般でいう「肌の水分」とは角質層の水分を指しています。
つまり私たちの肌はこの水分を保持する機能により、潤った状態を保つことができています。
しかし、この水分保持機能が低下するとバリア機能も低下してしまいます。
そのため角質層の水分は、角質層が正常に働くために必要不可欠なものといえます。
このように、私たちの肌には角質層の潤いを保つ働きが備わっています。
ただ、何らかの原因でその働きが低下すると角質層は乾燥してしまいます。
そして、この角質層の乾燥こそがインナードライ肌になる原因です。
乾燥肌とは異なり、インナードライ肌になりやすい肌は乾燥した状態がつづくと、皮脂を多く分泌して乾燥をやわらげようとします。
その結果、皮脂の分泌が過剰となり「肌表面は脂性肌」でも「肌の内側は乾燥肌」のインナードライ肌になってしまいます。
そのため、インナードライ肌は「乾燥性脂性肌」とも呼ばれています。
つまり、
このように隠れ乾燥肌ともいえるインナードライ肌の原因は角質層の乾燥だったのです。
では何が原因で角質層が乾燥してしまうのか、特にインナードライ肌の方に当てはまりやすい原因をあげていきましょう。
心当たりがないかチェックしてみてください。
インナードライ肌につながる乾燥の原因
① ターンオーバーの乱れ
角質層の保湿をするセラミドなどの成分は、ターンオーバーによって作られています。
そのためターンオーバーが乱れることにより、角質層の保湿ができなくなり乾燥してしまいます。
ターンオーバーを乱す要因としては、
- ストレス
- 不規則な生活
- 加齢
- 間違ったスキンケア
などがあります。
② 間違ったスキンケア
インナードライ肌の方は、肌表面は脂性肌になっているため、ベタつきやニキビ・毛穴の開きなど脂性肌と同じようなトラブルが目につきます。
そのため自分は脂性肌だと思い、皮脂に対するケアばかりを意識してしまうことにより乾燥を招いているケースがあります。
皮脂に対する間違ったケアの例をあげてみます。
● 皮脂(油分)を取ろうとする
- 一日に何回も洗顔をする
- よく油取り紙を使う
- 拭き取り化粧水などで皮脂を拭き取っている
● 皮脂(油分)を抑えようとする
- 収斂化粧水を使っている
収斂化粧水は毛穴を引き締め皮脂の分泌を抑えることから、脂性肌向けとも言われていますが、アルコール分を多く含む物が多いため肌が乾燥しやすくなります。 - 乳液やクリームを使わない
※皮脂は汗と混ざることで皮脂膜をつくり、角質層の水分蒸発を防ぐ蓋の役割があります。過剰に皮脂を取ることで角質層の乾燥を加速させてしまいます。
③ 紫外線
紫外線により角質層のバリア機能が低下し、角質層の水分が保てなくなってしまいます。
④ 空気の乾燥
冬だけではなく夏場でもエアコンの使用により空気は乾燥します。
空気中の湿度が下がると肌の水分が蒸発しやすくなります。
ここまで、インナードライ肌の原因を見てきました。
「もしかしてインナードライ肌かも?」と感じた方もいるかもしれませんね。
次は、インナードライ肌の見分け方をご紹介していきましょう。
3. インナードライ肌の見分け方
インナードライ肌の見分け方について見ていきます。
ご自身の肌をよく観察してみましょう。
インナードライ肌にみられる肌の特徴
- 肌のテカリが気になる
- 皮脂が出ているのに肌がつっぱる
- 乾燥している気がするのに、ニキビができやすい
- 肌がゴワゴワしている
- 毛穴が目立つ
- 乾燥肌だと思っていたのに、最近は脂っぽくなってきた
- 脂性肌用のケアをしているが効果がない、または、よけいに皮脂が多くなった
- メイクのノリが悪い
などが特徴としてあげられます。
当てはまる項目が多いほどインナードライ肌の可能性が高いといえます。
洗顔後の肌をチェックする
② 化粧水など何もつけずに10~15分放置します
③ お肌のチェックをしてみましょう
「洗顔直後は肌がつっぱりカサつくのに、時間がたつとベタつく」
「皮脂が浮いてきたのに、つっぱる感じがある」
これらの症状であれば、インナードライ肌の可能性が高いといえます。
その他、百貨店やドラッグストアのコスメカウンターでは無料で肌質診断をしてくれるところがあるので、気になる方は利用してみても良いでしょう。
4.インナードライ肌の改善方法
インナードライ肌は角質層の乾燥が原因です。
そのため角質層を「乾燥させない・保湿する」がインナードライ肌の改善につながります。
① スキンケアは保湿ケアが最優先
インナードライ肌は、角質層に必要な水分を十分に作り出すことや、角質層に水分を留めておく働きが低下しています。
そのため、外からのケアによって補う必要があります。
スキンケアの方法については、次の章でくわしく説明していきます。
② ターンオーバーを整える
ターンオーバーを整え、自分の肌の力で角質層が保湿できるように、健康な肌を作りましょう。
● ぐっすりと眠りましょう
質の良い睡眠は、ターンオーバーを促してくれる成長ホルモンの分泌を高めてくれます。
成長ホルモンが多く分泌されるのは眠りについてから最初の3時間だといわれています。
規則正しい生活をすることで睡眠の質を高めましょう。
● 食生活の改善
肌の材料となるたんぱく質をしっかり摂りましょう。
ビタミンA、B群、C、Eも健康な肌づくりに欠かせない栄養素です。
偏食や暴飲暴食は控えて、バランスの良い食事を心がけましょう。
③ 部屋の湿度を保つ
空気中の湿度が60%を下回ると、肌は乾燥しやすくなります。
空気の乾燥に加えて暖房器具を使う冬~春、エアコンを使う夏~秋と私たちは一年中乾燥しやすい環境にいます。
加湿器などを活用して、部屋の湿度を保つようにしましょう。
④ 口からも水分補給をする
体内の水分不足は、肌の乾燥にもつながります。
1日2リットルを目安にこまめにお水を飲みましょう。
私たちの肌は、周りの環境によっても影響をうけてしまいます。
できるところから改善していきましょう。
では、ここからは先ほど出てきたスキンケアについてみていきましょう。
5. インナードライ肌のスキンケア
インナードライ肌は皮脂の分泌が多く、ベタつきやニキビなどの原因となるため、脂性肌と間違われることがあります。
この2つの肌タイプが、大きく違うところは「水分量」です。
脂性肌は水分も皮脂も多い肌質ですが、インナードライ肌は水分が少なく皮脂は多い肌質です。
そして、繰り返しになりますがインナードライ肌の原因は角質層の水分不足です。
いくら皮脂を取ったり抑えたりしても、水分不足を改善しない限りインナードライ肌は改善できません。
そのためスキンケアを行う時のポイントも「乾燥させない・保湿する」この2点です。
それではスキンケアの流れや注意点をみていきましょう。
① クレンジング
スキンケアの基本はクレンジング・洗顔にあります。
また、クレンジング・洗顔のやり方が乾燥の原因になっていることも多いため、正しいやり方で行いましょう。
「正しいクレンジングの方法」の記事も参考にしてください。
クレンジングの目的は、メイク汚れ(油汚れ)を落とすことです。
クレンジングで乾燥させないための注意点
● こすらない
肌への摩擦は乾燥の原因になります。
手やコットン、シートタイプのクレンジングなどによる摩擦はできるかぎり減らしましょう。
● メイク汚れを残さない
メイク汚れが残っていると肌の水分や皮脂がメイク剤に吸収され乾燥しやすくなります。
また、毛穴のつまりやニキビなどのトラブルも起こりやすくなります。
● お湯の温度は30~35℃
温度が高いと、必要な皮脂や角質層にある保湿成分まで洗い流されてしまいます。
お湯の温度に気をつけて、しっかりすすぎましょう。
● メイクの濃さに合わせて、クレンジング剤を使い分ける
基本的にはベースメイクの濃さでクレンジング剤を選ぶ必要があります。
※アイメイクなどはポイントメイク専用リムーバーを使いましょう。
ウォータープルーフタイプなどを使ったしっかりメイクなら洗浄力の高いクレンジングが必要になりますが、お粉だけの軽いメイク程度ならそれほど強い洗浄力は必要ありません。
さらには、軽いメイクに洗浄力の高いクレンジングも必要ないといえます。
洗浄力の高いクレンジング剤は肌の負担となりやすいため、使い分けをおススメします。
② 洗顔
洗顔の目的は皮脂や汗、ホコリなどの汚れを落とすことです。
洗顔前にクレンジングを行った場合には、肌に残ったクレンジング剤を落とす目的もあるので、クレンジングを行った時は必ず洗顔をしましょう。
「正しい洗顔の方法」の記事も参考にしてください。
洗顔で乾燥させないための注意点
● こすらない
洗顔料をしっかり泡立てましょう。
ホイップクリームのようにキメ細かく弾力のある泡が理想です。
泡立てた泡を手の平にのせ、逆さにしても落ちない泡を作りましょう。
泡をつぶさないように優しく洗います。ゴシゴシ洗いは禁物です。
● 洗顔は1分以内
洗顔料が肌にのっている時間が長いと乾燥しやすくなります。
1分以内を目標に手早く汚れを落としていきましょう。
● お湯の温度は30~35℃
お湯の温度は30~35℃を目安にしましょう。
● すすぎは20回以上
洗浄成分の残留は肌の乾燥やトラブルにつながります。
顔にお湯をパシャパシャかけるようにしながら、しっかりとすすぎを行ってください。
● きちんとタオルドライをする
こすらずに、タオルを軽く顔に押し当てるようにして水分を吸い取るようにします。
また、肌に水滴が残っていると、その水滴が蒸発する時に肌の水分も一緒に蒸発してしまう「過乾燥」が起きてしまいます。
水滴が残らないようにきちんとタオルドライしましょう。
③ 化粧水
化粧水の目的は角質層に水分を補給することです。
保湿のポイント
● しっかり水分補給をする
500円玉分の量を2~3回に分けて、しっかり浸透させましょう。
手全体で顔を覆うようにハンドプレスしながら、化粧水をつけていきます。
足りないようなら、さらに重ねづけしていきます。
肌がひんやりして柔らかくなったらOKです。
顔の中でも部分によって必要量は変わってきます。
規定の量を目安にしながら、手で触った感触で必要量を調節していきましょう。
● 化粧水の成分にも注目する
・セラミド
保湿力といえばセラミドです。
もともと角質層にもある成分で水分保持力を高めてくれます。
「ヒト型セラミド」がおススメです。
成分表記は「セラミド1」などとセラミドの後ろに番号がついています。
特に番号1.2.3.6のいずれか、もしくは全部が入っているものは保湿に効果的です。
・ライスパワーNO.11
「肌の水分保持機能の改善」ができると医薬部外品の効能として認められている保湿成分です。
ライスパワーNO.11は、お米から抽出される成分の一種で、セラミドの生成を助ける働きをしてくれます。
・アルコールフリー
アルコール(エタノール)を多く含むものは肌が乾燥しやすくなります。
アルコールフリー、もしくはアルコールが少ないものがおススメです。
化粧水で乾燥させないための注意点
● タオルドライ後、間をあけずに化粧水をつける
洗顔後は皮脂膜も落ちているため、角質層の水分が蒸発しやすくなっています。
タオルドライ後は時間をあけずに保湿ケアをしていきましょう。
● しっかり浸透させる
過乾燥に注意しましょう。
肌表面に化粧水が残っていると過乾燥の原因になります。
水滴が残らないように、しっかり浸透させましょう。
● こすらない、叩かない
摩擦や強いパッティングによる刺激は乾燥の原因になります。
0.02mmほどしかない角質層です。優しく扱いましょう。
④ クリーム
クリームの目的は、油分を補い角質層の水分蒸発を防ぐことです。
保湿のポイント
● 油分で蓋をして水分をとじ込める
皮脂の分泌も多い肌なので、クリームは薄くつけましょう。
目元など乾燥を感じる部分は、重ねづけしてください。
クリームが重く感じるようなら、代わりに乳液を使いましょう。
クリームで乾燥させないための注意点
● 適度な油分も必要です
油分を避けるために化粧水や水溶性のジェルなどでスキンケアを終える方も多いのですが、クリームなどで蓋をしないと化粧水で補った水分が蒸発しやすくなります。
⑤ 保湿系の美容液
美容液には有効成分が濃縮して配合されています。
保湿用やシミ用など、目的に特化した商品が多く販売されています。
化粧水、クリームだけでもいいのですが、化粧水で補った水分をしっかりと角質層に留めておくためにも、プラスαで使用したいアイテムです。
※使用の順番は商品の表記に従ってください。
⑥ 日焼け止め
紫外線は肌を乾燥させます。
またインナードライ肌は、バリア機能が低下しているため紫外線が肌の奥まで届きやすくなっています。
そのため、シミやシワなどの原因にもなるためUVケアを忘れずにしましょう。
6. インナードライ肌のベースメイクのやり方
ここでは「乾燥させない・保湿する」をポイントにしたベースメイクのやり方をご紹介していきます。
① スキンケアでしっかり保湿をする
まずは土台となる肌を整えます。
スキンケアが終わってから10分ほど時間を置きましょう。
お肌を落ち着かせることによって、ベースメイクのノリやもちが良くなります。
② 下地をつける
下地には保湿成分が含まれたものを選びましょう。
過剰な皮脂によるメイク崩れが気になるために、テカリ防止の下地を使いたくなると思います。
しかし、そのようなテカリ防止タイプは皮脂を吸着するため、肌は乾燥しやすくなります。
そうすると、また皮脂を分泌してしまうため、避けた方が無難です。
セラミド・ヒアルロン酸・コラーゲンなどの保湿成分が入ったものを選びましょう。
③ ファンデーションをつける
ファンデーションには、パウダーファンデーションをおススメします。
保湿を考えれば、リキッドやクリームタイプを選びたいところですが、これらのタイプを落とすには洗浄力の高いクレンジングが必要です。
洗浄力の高いクレンジングは、正しいやり方で行ったとしても、どうしても肌に負担がかかってしまいます。
その点、パウダーファンデーションは、ミルクタイプなどの比較的洗浄力が穏やかなもので落とせるため、肌への負担を軽減させてくれます。
クレンジング不要なミネラルファンデーションもよいでしょう。
7. まとめ
ここまでインナードライ肌についてみてきましたが、いかがでしたか?
インナードライ肌の原因は角質層の乾燥でしたね。
そしてその乾燥は私たちが気付かない間にも進行している可能性があります。
まずは「乾燥させない・保湿する」を実践して、潤いのあるトラブルに負けないお肌づくりをしていきましょう。