たくさん寝たはずなのに疲れが取れない…という経験はありませんか?
それは、睡眠の質が悪いのが問題かもしれません。
実は、睡眠は長く取れば良いというものではありません。
睡眠は、質こそ重要なのです。
とは言っても、睡眠の質なんてどうやって高めれば良いのかわかりませんよね。
そこで今回は、睡眠の質が悪くなる原因と、睡眠の質を高める対策を紹介します。
睡眠の質を高めれば、同じ時間の睡眠時間でもより疲れが取れますし、場合によってはいつもよりも睡眠時間を少なくすることができるかもしれません。
良質な睡眠をとる最大のメリットは、一日の限られた時間を有効に使うことができるようになることです。
ぜひ、この記事を参考に睡眠の改善を目指してみてくださいね。
1. 睡眠の質が悪い理由とは?
睡眠の質について
「睡眠の質」という言葉はよく耳にしますが、そもそも質の良い睡眠とはいったいどのような睡眠のことを指すのでしょうか。
まずは、睡眠の質について知っておきましょう。
そのためには睡眠の種類を押さえておく必要があります。
睡眠には大きく2種類あり、それぞれ「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」と呼びます。
レム睡眠は浅い眠りのことで、身体が休む時間帯で脳はまだ比較的活動しています。
夢を見るのもこのレム睡眠の間になります。
レム睡眠からさらに深い眠りに入るとノンレム睡眠となり、脳も休まる時間帯に入ります。
ここまでは知っている方も多いと思いますが、さらにノンレム睡眠は眠りの深さで4段階に分けられます。
基本的には深度1から順に眠りが深くなり、深度4まで到達すると再び深度1まで浅くなっていきます。
ちなみに、深度3~4のノンレム睡眠は、ちょっとやそっとの物音では目が覚めないくらいの深い睡眠状態を指し、脳が完全に休まる時間帯になります。
深度1まで眠りが浅くなると、その後は再びレム睡眠に入り1サイクルとなります。
このサイクルを一般に90分間隔で目覚めるまで繰り返しています。
しかし、人によってはこのサイクルがうまくいかず、ノンレム睡眠が十分に深くなる前にレム睡眠に戻ってしまう人がいます。
すると、脳が完全に休まる時間がなくなり、寝ても寝た気がしない、なんだかイライラして集中できない、といった症状が出るようになります。
このような睡眠のことを、質の悪い睡眠と呼ぶのです。
沢山寝たはずなのに疲れが取れない、と感じる原因は脳が休まっていないことによるものです。
脳の疲労を回復するには、深度3~4の深いノンレム睡眠を取ることが必要なのです。
睡眠の質が悪くなる原因
それでは、睡眠の質が悪くなる原因についてみていきましょう。
重要なキーワードは「自律神経」です。
睡眠の質(深さ)はこの自律神経のバランスによってほとんど決まってしまいます。
自律神経は交感神経と副交感神経に大別されますが、寝るために重要な役割を果たすのは副交感神経になります。
副交感神経が優位になると、身体も精神もリラックスして寝るための用意が整います。
出典:michiwaclinic.jp
逆に、交感神経が活発になると身体も精神も興奮し、深い眠りに入ることを妨げてしまいます。
しかし、現代の生活には寝る直前まで交感神経を活発にさせる要因がたくさんあるのです。
いくつか例を挙げていきますので、ここで一度ご自身の生活を振り返ってみましょう。
● 寝る直前までのテレビ、パソコン、スマホ
現代の生活に欠かせないものになっているものの一つとして、テレビ、パソコン、スマホなどの液晶機器が挙げられます。
しかし、そのモニタから発せられる光に含まれるブルーライトという光が睡眠の質を低下させることが最近問題になっています。
ブルーライトは光の中でも波長が短く、紫外線に近い範囲の光になります。
太陽光にも含まれていて人の意識を覚醒させる効果があるので、これから寝ようというときに浴びてしまうと、身体が寝るための準備をうまく行えなくなってしまいます。
布団の中でスマホを見る習慣がある方は要注意です。
● 夜食
夜遅くに食べる食事も睡眠の質を低下させます。
消化活動の間は体温があまり下がらず、深い眠りに入りにくくなるためです。
また、胃もたれなどのストレスも深い睡眠の障害になります。
食後2時間くらいが消化活動のピークと言われていますので、少なくとも寝る2時間前にはすべての食事を終えましょう。
● 寝酒
お酒を飲まないと寝られないという方も多いかもしれませんが、お酒による入眠は深い睡眠に入ることが難しいと言われています。
確かに、お酒を飲むことで眠たくなることもあるのですが、アルコールが分解されていくにつれて交感神経が優位になり、睡眠が浅くなってしまいます。
寝酒によって眠れていると思っていても、実はその睡眠は質の悪い睡眠なのです。
● カフェイン
眠気覚ましとして使われていることからわかるように、カフェインの摂取も睡眠の質を低下させます。
寝る前にコーヒーを飲むといった行為はもちろんNGです。
また、コーラやココア、お茶にもカフェインは含まれています。
今一度、寝る前に摂取している成分を確認しておきましょう。
● 激しい運動
汗をたっぷりかくような激しい運動は交感神経を刺激してしまうので、その後深い眠りに入りにくくなってしまいます。
筋トレやランニングなどのトレーニングは、就寝4時間前までに切り上げるのが良いと言われています。
逆に、ストレッチなどの軽い運動は身体をリラックスさせて副交感神経優位にする効果があるのでオススメです。
● 42℃以上のお風呂
42℃以上のお風呂に入ると交感神経が活発になることが知られています。
熱いお風呂が好きな方も多いとは思いますが、質の良い睡眠のためには40℃程度のお風呂・シャワーがオススメです。
どうしても高い温度が良いという方は、就寝3時間前までに入浴を終えましょう。
● ストレス
精神的なストレスも、睡眠の質を低下させます。
自律神経のバランスはストレスで簡単に崩れてしまうからです。
布団に入ってから考え事をたくさんしてしまう方などは、就寝時にこれからご紹介する睡眠の質を高める方法を実践してみましょう。
2. 睡眠の質を高める方法
睡眠のゴールデンタイムを意識する
睡眠の質を高めるには、時間帯も重要です。
一番良いとされているのは、睡眠のゴールデンタイムと呼ばれている午後10時から午前2時の間に睡眠を取ることです。
この時間帯は美容・健康に必要なホルモンが最も分泌されると言われており、広く勧められている睡眠法です。
ただ、仕事や学業で遅くなってしまう方も多いでしょうし、なかなか午後10時に布団に入るというのも難しいと思います。
最近の研究では、午後10時から午前2時という時間帯に出るのではなく、入眠3時間後くらいにホルモンの分泌がピークを迎えるという結果も出ています。
そのため、寝る時間帯よりも寝た後の3時間という時間帯にいかに深い眠りに入るかということが重要なってきているようです。
無理に早く布団に入ってなかなか眠れない時間を過ごすよりは、眠たくなったら布団に入るという方が睡眠の質は高まると考えられます。
快眠グッズなどを利用する
寝具などのグッズ一つでも睡眠の質はかなり変わります。
睡眠の質を高めるためのグッズをいくつか紹介していきます。
① 枕
代表的なのは枕です。
最近テレビや雑誌などでも取り上げられることが多くなりましたが、最適な枕の高さは人によってミリ単位で変わります。また、堅さも重要です。
重要なのは、仰向けでも横向きでも負担が少ない高さと堅さです。
オーダーメイドで自分にぴったり合う枕を作ってくれるところもありますが、やはり少し高価ですし、そこまで本気にはなれないという方も多いでしょう。
そういう方にオススメしたいのは高反発枕です。
どちらを向いても頭の重さに負けない反発力で首や肩への負担を減らしてくれるので、快眠率が高いと評判の枕になります。
一時期流行った低反発枕は寝返り後に枕の高さが合わず、それがストレスになってしまう場合もあります。
可能なら、売り場で実際に寝て寝返りの感触を確かめておくと良いでしょう。
首の高さがなるべく変わらない枕を選ぶのが、睡眠の質を高めるポイントです。
高反発枕の中では、2種類の高さを選ぶことのできるザ・ピロー枕が評判も高くおすすめです。
② ベッドマット・シーツ
もちろん、身体を預けるベッドマットも睡眠の質には大切です。
床に寝れば分かりますが、人間の体は平らではないのでそれぞれに加重が偏ります。
その加重の偏りをいかに減らすかが、睡眠の質を高めるポイントです。
テレビCMなどでもたくさん取り上げられているので、売り場などで実際に寝てみて一番身体の力が抜けるベッドマットを選ぶと良いでしょう。
また、季節に合わせてベッドシーツを買えるのも重要です。
夏は触冷効果のあるシーツや速乾性の高いシーツで暑さや蒸れを避けましょう。
冬は逆に起毛系で暖かいものを選ぶと夜中の覚醒が減り、睡眠の質が上がります。
③ アイマスク
目の前が真っ暗になると、人は自然と眠たくなります。
寝るときに部屋の照明を完全に落としても、月明かりなどで意外と明かりが入るものです。
そこでアイマスクを装着すれば、明かりが遮断され睡眠の質が上がるでしょう。
しかし、アイマスク独特の締め付け感が気になって熟睡できないという方もいると思います。
そういう場合は寝る前にホットアイマスクを10分程度するなどでも、その後の睡眠導入効果がありますのでオススメです。
④ 耳栓
現代の生活には意外とさまざまな雑音が紛れています。
冷蔵庫のファンの音や、アパートなどでは隣の部屋の生活音も聞こえるでしょう。
家の近くを車が走ればその音も聞こえます。
そういった雑音をシャットアウトすると、睡眠がより深くまでできるようになります。
100均などでも売られていますが、中途半端な耳栓では雑音を遮断仕切れないことが多く熟睡には向きません。
⑤ アロマ
香りにも睡眠の質を高める効果があります。
寝る前にアロマやお香を焚くだけでも、心身がリラックスして副交感神経が優位に働きます。
アロマの中には同時に加湿してくれるものもあり、乾燥が気になるという方にもオススメです。
また、虫除けにもなるものもありますので、そういうタイプを使用すれば夏の蚊やハエなどに睡眠を邪魔されることもなくなります。
アロマの良い香りは朝まで続きますので、寝起きの気分も爽快になりますね。
リラックスできる音楽を流す
雑音は睡眠の障害になりますが、音楽の中には私たちの脳にα波というリラックス脳波を発生させてくれるものがあります。
そういった音楽を寝るときに掛けておくと、睡眠の質が高まると言われています。
睡眠の質を高める音楽のポイントは以下のようなものです。
① テンポが遅く一定な音楽
テンポが激しい曲を聴いていると、無意識に気持ちが高ぶってしまいます。
また、途中でテンポが変化するような音楽では、その変化に脳が気づいてしまうと興奮する原因になってしまいます。
なるべくテンポがゆっくりで変わらない音楽で、自分がなんだか落ち着くなと直感的に感じるものであれば良いでしょう。
② 歌詞のない音楽
歌詞のある音楽だと、いくら自分では意識的に気にしないようにしていても脳はその歌詞を聴いてしまいます。
脳が休む機会を奪ってしまうことになるので、音楽に歌詞はない方が良いとされています。
英語など、自分で意味のわからない歌詞ならば多少はましですが、それでも脳は何を言っているのだろうと聴いて考えようとしてしまいます。
③ 思い入れのない音楽
その音楽に自分の思い出が詰まっていると、どうしてもそれを思い出して脳を使ってしまいます。
難しいかも知れませんが、あまり自分にとって思い入れのない音楽を流すことがポイントです。
通勤時など、日常で聴いている音楽には、その音楽を聴いているときに見ている景色や出来事の記憶が意外と染みついているものです。
できれば、寝るとき専用の音楽を用意すると、邪魔な思い出に睡眠が邪魔されないので良いでしょう。
④ 朝まで流しっぱなしにしない
音楽にはリラックスさせる効果があると紹介しましたが、あくまでそれは覚醒時から浅い眠りにかけての話です。
ノンレム睡眠のような深い眠りに入っているときには、どのような音楽であれ雑音になってしまいます。
そのため朝まで流しっぱなしにしていると、結局深い眠りに入ることができずに睡眠の質は低下してしまいます。
そのため、睡眠導入ための音楽は深い眠りに入る時には止まっているのが理想です。
タイマーなどで30分~1時間程度で止まるようにしておくと、睡眠に入りやすく、深い睡眠も邪魔しません。
睡眠導入剤やサプリメント
どうしても眠れないときは、薬に頼ることも時には必要です。
しかし、睡眠薬は長期服用による依存や、過剰内服による朝になっても眠気が収まらないなどの弊害が出ることがあります。
必ず医師の処方の元で正しく使用しましょう。
睡眠薬に頼るのも少し恐いという方には、睡眠サプリメントがオススメです。
睡眠薬ほどの睡眠導入効果はありませんが、睡眠に必要な栄養やホルモンをサプリメントで補給することで、睡眠の質を高めるサポートをしてくれます。
様々な種類がありますので、成分表示の説明はもちろん、口コミなどもチェックして自分にあったものを選びましょう。
また、サプリメントは継続して飲むことで効果を実感することも多いので、ある程度継続できる価格帯であることも大事なポイントになります。
注意点としては、サプリメントには一部の薬の効果を弱める場合があることです。
常用している薬がある方は、その薬と併用しても大丈夫かどうか医師に確認してから始めることをオススメします。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
睡眠の質が高まると、午前中からシャキッと気持ちが切り替わり仕事や勉強の能率も良くなります。
日頃から気をつけられるポイントは紹介しただけでもたくさんありますので、出来る範囲から始めてみましょう。
人間には、音楽を聴いたりアロマを炊いたりなど何か睡眠前の習慣を付けておくと、その行動によって眠気が増長されるという習性があります。
初めは効果を感じられなくても、快適な睡眠のためのおまじないと考えて毎日続けて行くことが大切ということですね。
良い睡眠の習慣を身につけて、有意義な毎日を送りましょう!