1. 肌断食とは?
まず、肌断食にはいろいろなやり方があります。主な肌断食の方法は以下の3つです。
②週末だけ肌に何もつけない「週末肌断食」
③寝る時だけ肌に何もつけない「プチ肌断食」
自分の生活スタイルに合わせて行いやすい方法を選ぶことが、肌断食を継続しやすくする大切なポイントになります。
この記事では主に、①と②の方法を対比も交えて紹介していきます。
①「宇津木式肌断食」
毎日行っているメイクもスキンケアもやめ、肌に極力何も塗らないことで肌への負担を回避し、肌の回復を待ちます。
この方法の肌断食は、医師の宇津木龍一氏が提案して有名になったタイプです。
メイクはもちろん、スキンケアのための基礎化粧品を一切やめる・極力しないというものです。
「極力しない」というのは、肌の状況に応じてシンプルな保湿剤や洗浄剤を使ってケアすることもあるためです。
肌を休ませるためとか、肌状態をリセットするためといった一時的なものではなく、「未来永劫やめる」という点が肝。
なお、宇津木式では基本が水洗顔、化粧品を使ったとしてもクレンジング代わりに無添加石けんでの泡洗顔、保湿にはまれにワセリンを使うという程度に留まっています。
相当にストイックな方法なため、メイクやスキンケアでダメージを受けた肌の回復までの期間は他の方法に比べて最も早く、回復後の美肌をキープできる方法です。
この「完全な肌断食」は、程度に個人差はありますが、初期のとてもつらい肌荒れを乗り越える必要があります。
これがあるために、肌断食を断念する人も多いのです。
②「週末肌断食」
一般的に行われている肌断食の方法がこちら。
その名のとおり、週末にはメイクやスキンケアをせずに肌を休める方法です。
週末の数日間は肌を休ませる目的でメイクやスキンケアをやめるため、宇津木式肌断食の実行が難しい人が行うために向いている方法といえます。
いろいろやり方があり、その期間中は肌に何もつけない方法もあれば、クレンジング不要の薄いメイクはOK、化粧水だけはOKという方法もあります。
個人の肌状態や条件に沿って緩く行える肌断食ともいえる方法でしょう。
いずれにしてもこれらに共通しているのは、
「毎日肌につけているメイク用品、スキンケア化粧品は肌にとって“害”」
だという考えです。
そして肌にとって“害”となる行為を結果的にすべてやめれば、肌にもともと備わっている自然治癒力がよみがえるため、自然と美肌になっていくという考えが根底にあるわけです。
2. 肌断食の効果は?
①宇津木式の効果
肌断食によって得られる美肌効果や肌のバリア機能の改善効果は、肌断食のやり方をきちんと守り、どんなに肌に美容液やクリームなどを使いたくてもその誘惑に負けなければ、年齢無関係で確実に効果が現れるといわれます。
余談ですが洗顔後のスキンケアに「基礎化粧品のフルライン」を用いて行うといった手間のかかる方法は、日本人にとってはほぼ当たり前のようですが、世界的に見るとかなり稀だといいます。
さらにこの日本人のスキンケアの独特さや複雑さに目をつけたロレアル社が、フランス人女性に日本人にとっては「当たり前の」スキンケアを1か月間行ってもらったところ、すべての人が敏感肌になってしまったという笑えない話まであります。
逆に日本人女性には、ヨーロッパでは当たり前の、クレンジングと保湿のみのシンプルケアを同じ期間行ってもらった結果、敏感肌だった人の状態が改善されたということです。
肌断食の効果が実感できる時期には、大きく個人差があります。
それには数週間で効果を実感する人もいれば、数年かかるという人もいるため、一概にいえないのです。
基礎化粧品やメイク用品を使ってきた年数が長いほど、数多くアイテムを使ってスキンケアを気張ってやってきたりメイクに凝ってきたりした人ほど、残念ながら肌の状態が良くないので時間がかかるといえます。
これまでにどんなスキンケアをしてきたかが肌の回復のスピードに影響するのは紛れもない事実です。
肌断食を始めた当初は、むき出しの肌が露わになります。
それまでに受けたダメージで角質層も乱れていることが多いので、乾燥してガサガサする相当につらい状態がしばらく続きます。
先にも書きましたが、肌断食を始めると必ず訪れるこの時期に、そのつらさのせいで断念してしまう人が多いのです。
ですがそのつらい時期に辛抱を重ねて頑張って乗り越えると、バリア機能がしっかりしてくるため肌にふっくら感が出て、続いてその後に肌にハリと弾力が出てくるのです。
最初から完全な肌断食を行うのは難しいという人は多いでしょう。
その場合は今使っているメイク用品やクレンジングの見直しから始め、徐々にスキンケア用品の数を少なくしたり、夜だけ何もつけない肌断食をしたりなど、段階的にシフトしていくと苦痛が軽減できるでしょう。
そして最終的には肌に何もつけないケアのおかげで、肌自らがうるおう力を取り戻すため、洗顔した後でもつっぱり感が出ず、乾燥もしにくい肌になります。
この状態になれば肌のキメが細かく、見た目も美しい肌になっているはずです。
②週末肌断食の効果
宇津木式と比べると、肌の状態を根本的に改善するというよりは「一時的に肌を休ませる」というもの。
つらい症状がほとんど起こらない代わりに、劇的な効果もほぼ期待できない方法です。
肌の状態の悪化は防げるか、もしくは現状維持止まりといったところです。
メイクや朝晩の洗顔は思いのほか肌にダメージを与える行動です。
数日の間、一時的にでも日ごろのメイクやスキンケアを休むことで、肌への刺激を防いだりうるおい成分を守ったりすることができます。
また、過剰なスキンケアを行って肌に大きな負担を強いている人にとって週末肌断食は、「肌の声」を聴くよいチャンスといえるでしょう。
3.肌断食中の洗顔方法
1. 肌断食中はぬるま湯のみでの洗顔が基本
肌断食では、ぬるま湯のみでの洗顔を基本にしています。
さらに、この洗顔を行う基本的な条件は、基礎化粧品を使ったケアやメイクもなにも行っていない状態の肌であることです。
肌にとって洗浄は、必須のスキンケアです。
メイクや基礎化粧品でのケアを行っていなくても、酸化した皮脂などが肌についたままではトラブルの元となってしまいます。
そのため、
- (宇津木式)肌断食の洗顔方法の基本はぬるま湯洗顔
- 朝起きた時も、外から帰宅した時も、お風呂に入るときも、すべてぬるま湯のみで洗顔。洗顔料やクレンジング剤は使わない。
が肌断食中の正しい洗顔方法です。
洗顔の基本とは、肌を保護する役割を持つ皮脂を残しながら、汗汚れや酸化した皮脂や付着したほこりなどを落とすことを指します。
皮脂は水だけでは落ちないと思われがちですが、そもそも皮脂は水溶性のために水で洗い流せるといいます。
ぬるま湯洗顔のやり方
① 35度くらいのぬるま湯で行う
水温が高すぎると皮脂を取りすぎて肌の負担となるため、逆効果になります。
水温が35度くらいの理由は、肌の表面温度と同じ温度のため、肌へ負担をかけずに余分な皮脂を洗い流せるからといわれています。
② 絶対にこすらないで洗う
両手で受け皿を作り、ぬるま湯を溜めてそこに顔を押しつけます。
押し洗いの要領で数回、顔を浸けたり離したりを繰り返します。
この動作で「水が動く」ことによって、十分顔についた汚れを落とすことができます。
間違っても手を上下左右に動かして顔をこすらないこと。
摩擦を避けて丁寧に洗いましょう。
摩擦を避けるのは角質層が剥がれてしまうという大きなダメージを防ぐためです。
また、洗面器に顔を浸けたまま鼻から空気を出して起こるその振動だけで洗ったり、ぬるい温度のシャワーの勢いをごく弱めて顔に当てたりするという方法で洗っても良いでしょう。
③ タオルで拭く時も絶対にこすらない
洗い上がったらタオルを顔に5秒ほど押し当てるようにして水気をやさしく取りましょう。
メイクや基礎化粧品のケアをやめた肌断食中の洗顔は、肌が乾燥してつらい症状が起こっている渦中の場合もあります。
そのため肌の摩擦を極力避け、刺激を与えない洗顔を行ってあげましょう。
肌の回復が進んでくれば、ここまでナーバスになる必要はなくなりますが、肌状態の良くない肌断食の初期では特に気を使ってやさしく洗ってあげましょう。
2. 石けんを使用した洗顔方法
肌断食の洗顔の基本はぬるま湯洗顔ですが、石けんを使った方が良い場合もあります。
それは週末肌断食やプチ肌断食の場合に基礎化粧品でのケアやメイクを行った場合です。
初めに注意しておきたいのは、
「必ずしも洗顔は、石けん・洗顔フォームを使用して行うものではない」
ということです。
ですが、どうしてもメイクや日焼け止めをしなければならない場合は、石けんで洗い流せる程度のもので行います。
逆に、石けんでオフできるメイク用品や日焼け止めなどを使うことが肌断食を行う上での基本ということでもあります。
石けんは洗顔フォームと比べると洗浄力が弱く、特性がわかりやすい構成なのでデメリットを回避しやすいという特徴があります。
石けんにもデメリットはありますが、洗顔フォームが肌に与えるダメージなどのデメリットとは比較になりません。
そこで石けんを使って洗顔をする際には、「無添加石けん(純石けん)」を使うのがおススメです。
無添加石けんとは、植物性の油や動物性脂質に苛性ソーダなどを加え、界面活性作用を持たせた自然原料由来の石けんのことで、市販のものでは「ミヨシの無添加石鹸白いせっけん」や「ねば塾 白雪の詩」といった製品をおススメします。
無添加石けんを使用した場合は、皮膚に石けんカスが残っても常在菌によって分解されます。
また泡立ちもよく使いやすいものも多いため、石けんで落とせるメイクをした場合など、クレンジング代わりにこの無添加石けんを使います。
ただし、しっかりメイクをすると石けんの洗浄力では落とせないため、必然的にクレンジング剤の出番となってしまいます。
大切なので繰り返しますが、「無添加石けんで落とせる程度」のメイクしかしてはいけません。クレンジング剤を使うと肌が荒れ、すべての肌断食が台無しになるため要注意です。
泡洗顔のやり方
無添加石けんを使った洗顔は「泡での洗顔」です。
石けんをしっかりと泡立てるために、ネットやスポンジなどを準備しましょう。
① 水温はぬるま湯洗顔と同じ35度程度が適温
最初に、肌に適温のぬるま湯に顔を押し当てて濡らしておきます。
両手で受け皿を作ってぬるま湯を溜め、そこに押し当てるようにします。
② 固く泡立てた泡で手と肌の間にクッションを作り、決してこすらないように洗う
これは泡洗顔の肝となります。
まず、ぬるま湯を含ませながら石けんをネットやスポンジにこすりつけ、揉んで泡を立てます。
キメの細かな、固めの泡をたくさん作ります。
作った泡を入れておけるボールなどがあると便利です。
泡を乗せた手のひらを肌に当て、そのまま泡を肌に押しつけます。
手のひらを肌に近づけたり離したりを繰り返し、肌を泡で洗います。
泡はあくまでもクッションの役割のため、手が肌に直接触れないように慎重に行いましょう。
こすり洗いは論外。泡の動きで肌を洗うという感覚がポイントです。
また、皮脂分泌の少ない人はしっかり泡立てて肌にのせ、その直後に流すだけでも洗顔として十分成立します。
押し洗いが難しい箇所(あごの先や小鼻など)は、泡を指先にとって撫でるように優しく洗います。
③ すすぎも押し洗いで済ます
泡洗顔の仕上げのすすぎは、石けんの成分を肌に残さないためにも重要になります。
そして、ここでこそ「絶対に肌を手や指でこすらない」ことが鉄則です。
両手で作った受け皿の中に水を溜めて顔を押しつける⇔顔を離す、を繰り返してしっかり洗い流しましょう。
肌や生え際に石けん分を残さないよう、ぬるま湯を替えながら丁寧にやさしく行いましょう。
そして泡での洗顔後の肌には何もしないのが肌断食のやり方です。
洗顔後には当たり前のように化粧水・美容液・乳液・クリーム…といったたくさんのアイテムを用いた手間のかかるケアは、日本人特有のものといっても良いほど世界的には稀なものというのは先にも書きましたね。
こういった過剰なケアこそが、肌を何もしないでおける状態からどんどん遠ざけてしまうのです。
1つだけ間違いないといえるのは、肌が生み出す天然のうるおい成分や肌本来の傷ついた肌を回復させるメカニズムを越える化粧品はないということです。
そのため、最大限何もせず肌本来の機能を邪魔しない方が、肌はキレイになるのです。
4. 肌断食の期間は?
肌断食を始めると、「肌が荒れる⇒少しずつ回復する」を、行ったり来たりするプロセスを経て、肌が安定してきます。
結論からいうとその肝心な肌荒れ期間は、「人それぞれ」です。
肌を痛めつけてきた期間が長い人ほど時間がかかるともいわれていますが、肌断食以外の生活習慣などの影響でその時期が短縮されるなど、大きく左右されるともいいます。
一般的な肌の回復までのプロセスは、おおむね以下のようになるでしょう。(具体的な時期はあくまで目安です)
↓
2. 1週間から10日経過する頃には肌がカサつくかガサガサになる
↓
3. 開始後1か月くらいまではどんどん肌のゴワつきが進む、人によってはニキビまでできることもある(※乾燥がつらくなるこの時期は肌断食に挫折する人が多い時でもある)
↓
4. 2か月目に入ると徐々に乾燥がやわらぎ始める
↓
5. 3か月目くらいまでには、見た目には良くなくても肌の乾燥がやわらいでくるのが実感できる
↓
6. 4か月経過する頃には乾燥対策のワセリンの使用がほぼ要らなくなってくる
↓
7. 半年目に入る頃からそれ以降になってようやく肌が安定してくる
↓
8. 肌が安定する時期になると、「肌のうるおう感じ」が実感としてわかる
以上はあくまでも一般的なプロセスです。必ずしもこの通りに進むとは限らないため、一喜一憂せずに、そして無理なく行うようにしましょう。
5. 肌断食に副作用はあるの?
結論を先にいうと、つらい症状は副作用ではありません。
肌断食を行うと肌がボロボロになったり、カサカサしたりと肌の表面の状態が悪化することがよくあります。
実はこれこそが「真の肌」の状態。
この状態が起こって初めて、肌断食が順調に進んでいるという証拠でもあるのです。
納得が行かない人のために、どういうことか掘り下げてみましょう。
特に宇津木式肌断食を始めると、基礎化粧品による「ごまかし」が一切利かなくなるため、本当の肌の状態がむき出しになります。
過剰なスキンケアによってバリア機能が壊れたボロボロの肌がむき出しになると、乾燥するのはもちろん、肌から粉も吹くようになる場合があります。
そして細かなシワも目立ってくることもあります。
肌の顔色にもそれまで隠れていたムラやくすみが現れ、肌表面がカサついたりごわついたりし、硬くて手触りの非常に悪いものになるというわけです。
「見たくないものを見てしまった!」というのが正直な実感となることもあるでしょう。
こうなると多くの人が「肌断食したから肌の状態が悪化してしまった」と勘違いして大騒ぎになるのです。
ところで「真の肌が露わになる」とは、肌断食を始めるまで使っていた美容液やクリームなどの成分で肌表面が覆われ隠れていた(ごまかされていた)肌の本当の姿がむき出しになるということ。
いわゆる好転反応でもあるのです。
これまでの習慣を180度ガラリと変える時には現象に摩擦が起こるものです。
つまり、肌には負担がかかって当然。
これまで与えられてきた“害”を排出しようとするため、与えた側もつらい思いをすることになるのです。
これは切り離してはできないことなのです。
肌断食を始めて肌の状態が悪化してもそれは当然に起こるプロセスで、副作用ではありません。
実際の症状はつらくても、新しい健康な肌のバリア機能が回復するために起こる好転反応と諦めてしまえば、気が楽になります。
このつらい時期を頑張って乗り越えれば肌の状態は落ち着き、乾燥なども治まってきます。
この状態は右肩上がりだけで進んでくれるのが理想ですが、現実は行ったり来たりするので、臨機応変な対処をしてうまく乗り切りましょう。
6. 肌断食はニキビにも効果があるの?
肌断食は、ニキビがもうお手上げ状態の際の最終手段といわれます。
皮膚科でも解決できなかった場合に一か八かで試してみたところ、ニキビ解消に成功したという人も多いです。
ただし、肌断食をしたらニキビが悪化したという悲惨なケースも少なくないのも事実です。
肌断食を行うのであればニキビが改善する安全な対策を取る必要があります。
肌断食でニキビが増えるって本当?
結論からいうと、ニキビはできなくなります。
肌断食で好転反応が起きるのは、肌の回復のために必須のプロセスととらえるのが良いでしょう。
ニキビを改善するための「安全な」肌断食のポイントは2つ。
①クレンジングと過度なメイクをやめる
メイクを落とすためのクレンジング剤には化学成分を落とすため強力な洗浄作用があります。
そのためクレンジングを使うことは肌を傷つけることになります。
どうしてもメイクをしなければならない場合などには、クレンジングの要らないメイク用品を使うことが基本となります。
②日常的なニキビケアは継続、徐々にフェードアウト
まずはクレンジング不要なメイクに切り替え、クレンジング料も中止しましょう。
そして1日の終わりには丁寧に「泡洗顔」を行い、ニキビの原因となる汚れを落としましょう。
洗顔後には保湿ケアを行い、乾燥を防ぐことに留意しましょう。
その際の保湿ケア用品も敏感肌用のものを、最低限の量で使うのが望ましい方法です。
こうしたケアを丁寧に続け、ケア用品の使用や頻度も徐々に落としていき、最終的には中止するのが理想的です。
ニキビの肌断食に必要な期間は
ニキビケアの必要な期間や中止してから改善までの期間は個人差によります。
成功者例には、肌断食を始めた当初は肌がひどく乾燥して肌荒れに悩んだものの、辛抱して続けて行くうちに新しい赤ニキビができなくなり、肌荒れが治まったという場合もあります。
【成功者の具体例】
2. 3か月ほどで顔の赤みや肌荒れも治まってきた。
3. 5か月後には赤ニキビが全くできなくなった。時として白ニキビができることがあっても、悪化する前にすぐに治るようになった。
4. 7か月後、ニキビはほぼ完治。肌にできた慢性的なかぶれも改善し、ニキビ跡も薄くなった。
この例によれば、ニキビのためのケア用品が逆に肌に負担をかけ、肌本来の回復力を奪っている場合もある、というコメントもあります。
好転反応の表れともいえる肌荒れのつらい症状を早く乗り切るためには、ニキビのためのスキンケアをできる限り早めに見切るのも大切な要素といえそうです。
7. 肌断食の時はメイクはしてはダメなの?
①宇津木式肌断食中の場合
基本的にファンデーションを肌に塗るのはNGです。
成分に油分と界面活性剤が多く含まれているファンデーションを使い続けるためにシミやくすみが増え、それを隠すためにますます厚塗りする、どんどん手放せなくなっていくという悪循環に陥るのを防ぐためです。
やむを得ず使う場合には、油分や界面活性剤が含まれていないものか、大幅にカットされているパウダリーファンデーションを選ぶことが基本となります。
ポイントメイクに関しては、しないに越したことはありません。
防腐剤など肌に刺激になる成分が多く含まれているうえ、クレンジングをしないとほぼ落ちないためです。
とはいえ、目元・口元・眉など限定されたパーツのみのポイントメイクはファンデーションに比べると施す範囲が小さいために、肌ダメージが少なくて済むことも確かです。
こすらずに簡単に落ちるように薄塗りする、ぬるま湯でオフできるメイク用品を使うといった条件を守るならば、肌断食の最中や終了後でも使ってOKといえます。
②週末肌断食の場合
週末肌断食の場合は、その期間中のメイクは一切禁止です。
終了後ではOKですが、宇津木式の場合と同じような条件を極力守るようにしましょう。
週末肌断食をした後で、見違えるように肌が変わっている場合もあります。
だとしたら、これまでどれだけメイクやスキンケアで肌に負担をかけていたかが実感としてよくわかるはず。
負担をかけていた時と同じものを使い続けるのか、今後は変えるのかは個人の判断に任せるといっても、いわずと知れたことでしょう。
理想としては、できるだけ肌にやさしい成分や作りの化粧品に変えるのがやはり望ましいです。
例えば敏感肌ブランドには基礎化粧品だけでなく、メイクアップ用品も作られています。
そういった肌仕様のものを使った方が確実に肌の負担を減らすことにつながります。
8. 肌断食の保湿剤にはワセリンが効果的?
ワセリンは皮膚科の治療でも用いられる油分です。
肌にとっては安全性が高く安心なものといえます。
ここでは宇津木式肌断食を行っていることをベースに話を進めます。
肌断食のワセリンの効果とは?
肌断食を始めると当初はどうしても目や口元が乾燥してしまうとか、チクチクしたりピクついたりする部分が出る場合が多くなります。
乾燥した肌の状態とは、肌のバリアが機能していない状態のことです。
そのため外部から異物が侵入しやすく、炎症の原因になることもあります。
その際には「気になる部分にのみ」ワセリンを使うようにしましょう。
ワセリンは肌断食中の肌を保護して乾燥や外的刺激からガードしてくれる作用があるため、つらい症状をやわらげるのにとても役立ちます。
ワセリンは薬局やドラッグストア、ネットでも手に入るものです。
純度によって色が異なるため、より純度や精製度の高いものを求める場合は「白色ワセリン」というものを選ぶと良いでしょう。
ワセリンを使用する際の注意点
安価で気軽に手に入り、しかも肌にやさしい。
ワセリンは肌にとって最も安全で安心して使えるアイテムといえます。
アトピー性皮膚炎の治療を初め、乾燥肌や敏感肌での使用には保湿剤としてワセリンを用いる場合が多いです。
肌断食で「こすらない・洗い過ぎない・何もつけない」状態では、肌本来の機能を取り戻すまでは乾燥したり刺激を受けやすかったりしてつらい症状になることが往々にして起こります。
その状態をただ黙って耐えるのは酷なことです。
そうした症状を少しでもやわらげて肌断食をスムースに進めるために、ワセリンを活用して肌の回復を待ちましょう。
肌に塗る時の注意点は、顔全体に使うのではなく「気になる部分にのみ」使うということ。
鉱物油由来のために敬遠されがちですが、以下の点に気をつけて使えば酸化せず、肌への浸透もしづらくなるので、決して邪魔者ではないものです。
ワセリンの使用に当たり気をつけることは、
- ごく少量を塗ること(目安は米粒半分くらい)
- 乾燥している部分にのみポイント使いをすること
- 乾燥がやわらいできたら使用量を減らすこと
- 精製度の高いものを選ぶこと
- 乾燥していない箇所には塗らないこと
ということです。
クリーム代わりに使うわけではないので、使用量には特に注意しましょう。
9. 肌断食で角栓もとれる?
肌断食をしていると、その過程で角栓が大量にできる場合があります。
角栓とは、毛穴に詰まった白いもののことです。大体の場合、これらが毛穴から出てきた糸のように見えます。
肌断食を始めるとなぜ角栓が出てくるのかというと、化粧品の使用で痛めつけられていた肌の機能が正常に戻り始めるからなのです。
メイク用品やスキンケア用品を日常的に使っていると肌はダメージを常に受けている状態になります。
その状態が続くと肌は正常に機能しなくなってしまい新陳代謝もほぼストップしてしまうのです。
肌断食でその“害”を除くことで正常な状態に戻り始めます。
すると肌の働きも活発化し、新しい細胞が次々と作られるようになり、それらが毛穴を詰まらせて角栓となって出てくるのです。
ちなみに角栓の成分のほとんどは「ケラチンタンパク質」というものです。
角栓は皮脂が固まってできたものと考えられる場合が多いですが、角栓はほぼ角質細胞なのです。
要するに角栓は、不要になった多くの角質細胞と皮脂などが混ざり合ってできたものです。
角栓が出てくるのは異常でも副作用でもなく、肌の機能が正常化している表れということです。
なお、角質がたくさん出て気になるからと、ムリヤリ取るのは絶対にやめましょう。
洗顔している間に自然と取れる程度なら問題はありませんし、飛び出ている部分をカットするのであれば大丈夫ですが、毛抜きで抜くのはNG。
肌への大きな負担となり、角栓の悪化につながってしまいます。
角栓がたくさん出てくると不安になるかもしれません。
ですが肌の回復が進んで落ち着いてくれば、角栓も同時に必ず治まってきます。
肌を痛めつけた期間分、角栓がなくなるまでも時間がかかるのと、どうしてもそれは人によって差が出てしまうのは仕方のないこと。
3か月、半年、1年というスパンで気を長く持ちましょう。
10. まとめ
多くの人にとって「当たり前」のこととなっているスキンケアやメイクこそが肌を傷める“害”だとしたら?
これまでのスキンケアの常識に心酔している人ほど、「肌に何もつけない肌断食やシンプルケアほど肌に良い」という考えには抵抗があることでしょう。
あくまで「何もしないスキンケア」も数ある美容法の内の1つであって、絶対的に正しい方法ではありません。
ですが、今おこなっているスキンケアで肌の状態に不安や疑問を感じているのであれば、これまでの「当たり前」を疑って自らの常識を打ち破るのも1つの手段ではないでしょうか。
確かにそれはとても勇気がいることですが、肌断食は試してみる価値が十分にある方法の1つといえるでしょう。