日々のお肌のケアに気を配っている人は化粧水などの基礎化粧品を使うことでしょう。
身近すぎるアイテムともいえるために、これらの役割の違いをきちんと把握している人は意外と少ないのではないでしょうか?
お肌の調子を整える基礎化粧品の中でも基本の美容液・化粧水・乳液、それぞれの違いについて解説していきますね。
1. 美容液と化粧水と乳液ってどう違うの?
まず、それぞれの基本的な作用は以下のとおりです。
- 「化粧水」は洗顔などで失われた角質の水分を補い、肌の調子を整えて柔らかくする
- 「美容液」はうるおいを与えるだけでなく、肌のみずみずしさを保つ働きがあるもの
- 「乳液」は適度な油分を含み、皮膚からの水分蒸散を防いでくれる働きがあるもの
となります。
では、これらの具体的な役割を詳しく見ていきましょう。
① 美容液の役割
美容液には以下のような役割があります。
- 主に「保湿」や「美白」対策などの有効成分を濃縮して作られた基礎化粧品
- 有効成分が高濃度で配合されているために他の基礎化粧品と比べてお値段も少し高め
- 他の基礎化粧品が保湿といえば油分で補っているのに対し、美容液は油分を中心としない保湿成分が多く含まれている
- 油分中心でない保湿成分が配合されているため、ベタつかずしっとりするという理想的な肌のコンディションに導くことができる
- 保湿や美白などの効果に加え、「リフトアップ」や「アンチエイジング」など、さまざまな効果を「もう一種類のプラス」で補う高濃度のエッセンス
- 美容液とは本来スキンケアに必ず取り入れなければならないものではない
- 顔全体に使うのはもちろん、乾燥が気になる部分や時季限定で使うなど、部分的な使用もおススメ。目元や口元などのポイント使いだけでも効果は抜群
お肌の悩みが気になるポイントへの部分使いや目的別など、タイプによってさまざまな高い効能を持ちます。
簡単に美容液を説明するとしたら、
「シミや保湿などの対策に不足している・不十分な成分を補うワンランク上の基礎化粧品」
といったところでしょう。
ところで、基礎化粧品の中でも美容液でケアしないとなんとなく物足りなく感じるという人も少なくないのではないでしょうか?
少なからずそう思う人がいる理由は、美容液にはお肌の悩みに対する有効成分が濃縮されて入っているからです。
化粧水などにもお悩みを解決するために有効な成分が含まれている場合がありますが、美容液のほうが目的解決のためにより効果的に補うことができます。
化粧水よりも濃密な質感に作られているものが多い美容液は、シミ・シワ、たるみなどのお肌のトラブルで気になる箇所に有効成分を補う働きをします。
「保湿」や「美白」、「ハリ・弾力」や「エイジングケア」など、目的別の改善にフォーカスして作られていて栄養素の不十分な箇所を集中的にケアできるわけです。
ただ、必ずしも必要なアイテムではないため、特にお肌の悩みがないなどで目的別のケアは不要という人、またはスキンケアのコストを抑えたい人にとっては、省いてしまっても構わないものと言えるでしょう。
② 化粧水の役割
- 肌への水分や栄養補給の役割を持つ基礎化粧品
- その名のとおり、主に構成されている成分は「水」
- 肌の調子やキメを整えて柔らかくする
- 洗顔や入浴後に蒸発しやすい水分を肌に浸透させる
- 多くの化粧水にはセラミドなどの肌の「バリア機能(※)」にかかわっている成分や浸透力を高めるグリセリン、皮膚を柔らかくするエモリエント剤などを含んでいる。そのため普通の水に比べて肌の保湿や浸透機能が高くなっている
- 化粧水をつけるタイミングは洗顔やクレンジングなどのケアの後
- 美容液などとは違い、肌に補った水分をキープさせておく作用は無い
(※人の体表面を被っている皮膚にある役割で、肌の水分を保ったり、外部から異物が侵入したりするのを防ぐこと)
化粧水の役割は、お肌にうるおいを与えてキメを整え、柔らかくすることです。
そのため化粧水は、クレンジングや洗顔で失われた角質の水分を補う必要のある洗顔した後の素肌へ最初につけるものになります。
洗顔した後のお肌は、皮膚の保湿に必要な皮脂まで汚れと一緒に落とされている不安定なコンディションになっています。
この状態のお肌にまず化粧水を含ませることが角質に水分を補いやすくするので、ケアの順序で次に続く美容液などがより浸透しやすい下地を整えることになるのです。
また、お肌に清涼感を与えてみずみずしい状態に整える作用や、皮脂の余分な分泌を抑えてお肌を引き締める作用もあります。
でも、化粧水自体には水分をお肌に補ってうるおいを与えた後に、それをキープしておける作用がありません。
確かに、販売されている化粧水の中にも、保湿成分が含まれていたりそれに特化していたりする商品も数多くあります。
ですが化粧水の成分は主に「水」で構成されているので、お肌に含ませた後そのまま放っておくと、有効成分を含んだせっかくの水分が蒸発してしまいます。
そのため、化粧水だけをどれだけたっぷり含ませてもそれで放置では、効果が十分に発揮されないという悲しい結果になってしまいます。
それを防ぐために、美容液や乳液を使うことになるわけです。
③ 乳液の役割
- 乳液のメイン作用は「お肌の保湿」
- 乳液の構成成分は油分を中心にして作られている
- 化粧水で補われた水分がお肌から蒸発して行かないよう皮膚に留まらせる役割を持つ
- 美容液や化粧水の有効成分や効能を油分で閉じ込め、水分の蒸発を防ぐ働きをする
以前は、化粧水で水分をお肌にたっぷり含ませた後は、その蒸発を防ぐために乳液をつけて「フタ」をするといわれていました。
それが今では考え方が変わってきたのです。
乳液を構成する主な成分の「油分」とは、角質層の細胞のスキマを埋める働きをする「セラミド」という保湿成分をサポートすることを主な働きとしているものです。
そのため、油分で皮膚にフタをして水分の蒸発を防ぐというより、セラミドの作用を助けることが乳液の作用という考えにシフトしています。
乳液の主な成分である油分と保湿成分のセラミドとの共同作業で、
化粧水の水分の蒸発を防ぎ、
美容液の有効成分も肌の中に長くキープされる
ことができるのです。
2. 美容液と化粧水と乳液を使用する順番は?
まず結論からいいますと使用する順番は基本的に、①化粧水 ⇒ ②美容液 ⇒ ③乳液と使っていくのが良いと言われています。
では、その理由を少し掘り下げてみましょう。
おさらいですが、これらの基礎化粧品の主な働きから確認しますと、
②美容液…肌をたっぷりと保湿する(※)
③乳液…肌の水分の蒸発を防ぎ、肌の中にキープさせる
ですね。
(※「化粧水」が主に洗顔などで失われた角質の水分を補うのとは異なり、「美容液」にはうるおいを与える働きだけでなく、肌のみずみずしさを保つ保湿の作用があります)
基礎化粧品を使ったスキンケアは素肌に行うのが常識です。
メイクがクレンジングや洗顔で落とされていて、洗い流しの素顔の状態になっているところからスタートです。
この、クレンジングや洗顔をした後の素肌には水分量が少なくなっています。
お肌の水分量が減っている状態では、化粧水などの栄養成分が皮膚の中に浸透しにくいといわれています。
そのため、まず化粧水を使うことでお肌の水分量を増やしてうるおいを与え、その後のケアに用いる基礎化粧品の成分を浸透しやすくする必要があるわけです。
化粧水でお肌にうるおいを与えて下地を作ったら、お肌の目的別に有効な成分や栄養がたっぷり含まれている美容液を与えます。
化粧水の作用のおかげで美容液がお肌になじみやすくなり、有効成分も浸透しやすくなっているため、美容液の効能が十分に発揮されることになります。
そして最後に登場となるのが乳液です。
乳液は油分によって皮膚の水分蒸発を防いで留めておく作用があるので、油分を中心としない保湿成分より後に用いる必要があるためです。
保湿の効果をより上げたいなら、一番やってはいけないのは乳液のつけ忘れです。
乳液をつけなければお肌から特に化粧水などが蒸発していくことになります。蒸発するとその効果が得られないばかりか、もともと皮膚に存在していた水分も一緒に蒸発してしまうので、お肌の乾燥が進むきっかけを与えてしまいます。
お肌の乾燥が進んでしまうと乾燥肌や、乾燥を防ごうと防御機能が働いて皮膚から皮脂の分泌量が増えるためにニキビができる原因まで招くことがあります。
このように、つけ忘れがきっかけとなってお肌に余計なトラブルを招かないためにも、スキンケアの仕上げには必ず乳液をつけるようにすることが大切といえます。
ケアの順序には意味があります。順番をきちんと守ることでうるおいたっぷりのお肌を手に入れることができますよ。
3. 美容液と化粧水と乳液を使用する時間はいつが良いの?
3つとも、夜の使用が効果的です。
その際にはこれらをつける順番をきちんと守ることが大切です。
また、お肌に保湿をしてあげるべき時間帯・タイミングは、お風呂上がりや洗顔の後といわれます。
そのため、美容液はお風呂上がりが最適といわれています。
また、お風呂上がりはお肌から水分が蒸発しやすい状態になっているので、美容液の前に必ず化粧水の使用を忘れないようにしましょう。
そして、乳液で水分や栄養などの成分を皮膚に閉じ込めることも忘れずに行いましょう。
なお、美容液は朝に使いたいタイプと夜に使いたいタイプとで作られているものがあります。
お出かけ前の朝に使う美容液は、メイクをすることを考え、お肌へ素早くなじむさらりとした質感のものが良いでしょう。
また、保湿に加え日焼け止めの効果を含んだものや、皮脂分泌を抑えてくれるなどメイクの持ちを良くしてくれるものもあります。
自分の日中の過ごし方をチェックして、自分の日常に沿った美容液を探してみるとぴったりのものが見つかるかもしれません。
夜に使いたいタイプの美容液には、こってりとした質感のものが出番です。
また、日中は食事などで刺激を受けている唇へのケアも集中して行えるため、唇専用のものを使うのもおすすめです。
4. 化粧水と美容液はどっちが先?どちらかだけでも効果はあるの?
基本的なケアの順序に従うと、化粧水の使用が先になります。
化粧水を先につける意味は、洗顔などで失われたお肌のうるおいを水分で補って与えるためです。
美容液を化粧水より先にお肌につけてしまった場合、お肌に必要な水分が十分でないため、美容液の浸透がうまく行われないことになり、その有効成分の効果が弱まることにもなります。
また、美容液はスキンケアに必須のアイテムではなく、目的別にお肌に重点的に補いたい栄養や有効成分を効率的に補うためのものです。
単体での使用ではなく、あくまで「プラスして使うもの」のため、化粧水と組み合わせて使う方がその効果をより発揮してくれることになります。
化粧水だけの使用は、お肌を整える作用はありますが、保湿はできません。
水分を補給した後にそのまま放っておくとどんどんお肌から水分が蒸発していくうえ、お肌の乾燥の原因となります。
そのため化粧品だけの効果はほとんど期待できないと思って良いでしょう。
化粧水の効果的な使い方
化粧水をお肌に含ませる際、「手のひらで」か「コットン使用」かで意見が分かれるところです。
多くの人がケアの際にどちらかを使って行っているはずですが、それに対する正しい答えはありません。
まず、手のひらで化粧水を含ませる場合ですが、コットンよりもお肌への刺激が少ないといえます。
手の温もりが自然と毛穴が開きやすい状態へ導き、化粧水がお肌へ浸透しやすいというメリットがあります。
ただし、デメリットとしては、手に化粧水を取ることで手から滴り落ちやすくお肌への浸透にムラができやすくなったり、肝心のお肌へ含ませるより先に手に吸収されてしまったりなどすることも全く起こらないともいえません。
逆にコットンを使う場合は、力を込めずにやさしくパッティングしても、手のひらを使うことに比べて、多少といえどもお肌への刺激を与えてしまいます。
ですが、化粧水がコットンに含まれているために、手のひらに取る場合と比べて滴り落ちることはほぼ避けられるうえ、ムラなく浸透させることはできます。
なお、コットンに化粧水を含む時はたっぷりの量を惜しまずに使いましょう。
5. まとめ
日々のお肌のケアのアイテムに当たり前のように使っている美容液・化粧水・乳液ですが、それぞれの作用の特徴や役割がわかると、より自分のお肌に合ったものを探して使いたくなるのではないでしょうか?
これらの基本的な役割をしっかり把握して、使う順番を守ることがお肌のケアに必要な基礎となります。
自分にとって必要なアイテムを効率よく取り入れ、健康でキレイなお肌づくりのサポートとして活用しましょう。