顎にできたニキビは目立ちやすいし治りにくいので、女性が抱える悩みの種の一つですよね。
洗顔などの肌ケアに気をつけていても、いつの間にかできている顎ニキビ。
実はその原因には、私たちの身体の中にある自律神経も関係しているのです。
顎ニキビの改善には、乱れた自律神経を正してあげることも必要です。
今回は、顎ニキビと自律神経の関係と、簡単にできる自律神経のコントロール法を紹介します。
ぜひ参考にして、ニキビのない綺麗なフェイスラインを手に入れましょう。
1. 顎ニキビの原因となる自律神経の乱れとは?
自律神経とは?
自律神経の乱れについてお話する前に、まずはそもそも自律神経とは何かということを知っておかなければなりません。
名前自体はよく聞くものだとは思いますが、あまりその実態がわからない人も多いはず。
私たちの身体の中を走る末梢神経(脳と脊髄を除いた神経)には、大きく2つの種類があります。
一つは、身体を動かし、触れたものを知覚する役割を持つ「体性神経」。
そしてもう一つが、今回のテーマである「自律神経」で、内臓や血管の活動をコントロールしている神経です。
自律神経はさらに2つに分けられ、それぞれ「交感神経」と「副交感神経」と呼びます。
交感神経は身体を活発にさせるときに働く神経で、闘争と逃走の神経、とも呼ばれています。
交感神経が活発になると、身体は戦うために適した興奮状態になります。
心臓の鼓動は早くなり、血圧も上がり、視界が良くなるように瞳孔は散大します。
さらに、酸素をより取り込もうとして気管支が拡張し、呼吸数も多くなります。
マラソンなど、運動している時をイメージするとわかりやすいと思います。
そして交感神経と反対の役割を果たしているのが、副交感神経となります。
つまり、身体を休め、リラックスしている状態を作るのが副交感神経の役割です。
副交感神経が働くと、心臓もゆっくり動き、食事を消化するために腸の運動も活発になります。
睡眠時なども、副交感神経が優位な状態と言えます。
自律神経は、この正反対の役割をもつ交感神経と副交感神経が互いを補い合ってバランス良く機能していることで、正常に働くことができるのです。
出典:michiwaclinic.jp
よく言われている「自律神経が乱れる」というのは、この交感神経と副交感神経のバランスが崩れてしまっている状態のことを指します。
自律神経と女性ホルモン
そして、自律神経についてもう一つ重要なことを紹介します。
それは、女性ホルモンとの密接な関係についてです。
実はこの二つ、脳の「視床下部」という同じ部分でコントロールされています。
そのため、自律神経と女性ホルモンは、どちらかが不調になるともう一方も影響を受けてしまうことがあります。
女性は生理周期によって女性ホルモンが不安定になりやすいので、自律神経にも注意を払うことが必要です。
自律神経が乱れる原因
それでは、続いては自律神経が乱れる原因についてみていきましょう。
一番多いのは、ストレスによる自律神経の乱れです。
日常的にストレスに晒されている状態が続くと、身体は緊張し、交感神経優位な状態になってしまいます。
そうすると、本当は休まなければいけないというときにリラックスのための副交感神経がうまく機能しなくなってしまい、身体はどんどん疲労してしまいます。
疲労がまたストレスになり、と悪循環が生まれやすいのもストレスの怖いところです。
また、睡眠不足や昼夜逆転などの不規則な生活も自律神経の乱れの原因になります。
自律神経は大きなサイクルとして、日中の活動時間と夜の睡眠時間で交感神経と副交感神経を切り替えて、バランスを保っています。
そのため、夜更かしや昼夜逆転などで、本来なら副交感神経の時間なのにも関わらず興奮状態が続いていると、自律神経のバランスが乱れてしまいます。
自律神経の乱れと顎ニキビの関係
続いては、自律神経が乱れるとなぜ顎ニキビが出来てしまうのか、そのメカニズムを紹介します。
自律神経の乱れによる不調は、交感神経が働きすぎることで起こります。
日々のストレスや不規則な生活によって交感神経が優位な時間が長くなると、身体も緊張状態が続きます。
交感神経は、男性ホルモンの一つであるアンドロゲンの分泌を促します。
アンドロゲンには、皮脂の分泌を増やす効果や肌の角質化を促進(角化異常)させる効果があります。
肌の角質化が促進されると、肌が固くなり分泌された皮脂が詰まりやすくなってしまいます。
そうして詰まった皮質は雑菌の繁殖を招き、ニキビの原因となってしまうのです。
また、顎は基本的には皮脂の分泌が少ない部分なので、毛穴があまり発達していません。
肌のターンオーバーも顔の他の部分と比べると遅いと言われています。
普段皮脂が少ない部分に沢山の皮脂が分泌され、発達していない小さな毛穴に増えすぎた角質や皮脂が詰まってしまうということです。
いかがでしょうか。非常にニキビが出来やすい状態になるということが誰でも予想できると思います。
また、交感神経が優位になると腸の運動が抑制され便秘になり、身体に溜まった毒素が排出されにくい状態になってしまいます。
腸内環境の悪化は、顎ニキビを含めた身体のさまざまな不調の原因になってしまいます。
自律神経が乱れることで顎ニキビが出来てしまうのは、こういった理由です。
女性ホルモンの乱れ
そして、顎ニキビができるもう一つの大きな要因として挙げられるのは、自律神経が乱れると女性ホルモンも乱れてしまうということです。
女性の生理周期は、女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンが交互にバランス良く作用することで成り立っています。
エストロゲンは美のホルモンと呼ばれているほどで女性にとって好ましい効果が多いですが、プロゲステロンは皮脂の分泌を増やし肌の水分量を減少させる効果がある、肌トラブルの原因になるホルモンです。
女性ホルモンのバランスが保たれていると、プロゲステロンによる肌トラブルをエストロゲンがフォローしてくれています。
ところが自律神経の乱れによって女性ホルモンのバランスが崩れてしまうと、そのフォローがうまくいかなくなってしまいます。
そして、プロゲステロンの組成は男性ホルモンに似ているので、ニキビなどの不調が出やすいのは男性で言えばひげが生える顎周りのフェイスラインというわけです。
プロゲステロンは生理の時に感じるイライラの原因でもあります。
自律神経の乱れによって女性ホルモンが乱れ、イライラなどのストレスを抱えると、今度はそのストレスが原因で自律神経がさらに崩れてしまうとう悪循環に陥ります。
顎ニキビがなかなか治らないのは、一度自律神経の不調が出てしまうと改善が難しいということが原因とも言えるでしょう。
2. 顎ニキビを改善する自律神経の整え方
顎ニキビの改善には、まずは自律神経をきちんと整えることから始まります。
キーワードは「リラックス」です。
身体を休めることで副交感神経が優位に働き、ニキビの原因になる交感神経の働きを抑えてくれるのです。
ここからは、顎ニキビにお悩みの方にはすぐにでも実践して頂きたい自律神経の整え方を紹介していきます。
深呼吸をする
まさに、今すぐにでもできる簡単な方法です。
経験的に、深呼吸が人を落ち着かせることはみなさんご存じかと思います。
人前に出るときやスポーツの大会の直前などに、一度深呼吸をして気持ちを落ち着かせますよね。
ゆっくりとした呼吸は身体の緊張をほぐし、副交感神経を働かせて自律神経のバランスを整えてくれます。
逆に、浅い呼吸は交感神経を刺激します。
走っているときなどは、浅く早い呼吸をしていますよね。
自律神経を整えるにあたって大切なのは、深呼吸であることです。
それでは、効果的な深呼吸のやり方を紹介いたします。
① 全身の力を抜く
交感神経が優位な状態では、無意識に筋肉に力が入り身体が強ばっています。
あらかじめ意識して力を抜いておくと、深呼吸もスムーズに行うことができます。
でも、いきなり力を抜けといっても、難しいと思います。
コツは、一度全力で力を入れると言うことです。
手を強く握ったり、腹筋や腕に数秒だけ力を強く入れて、すぐにその力を抜きます。
これを数回繰り返すと、だんだん力が抜けていくと思います。
② 鼻からなるべくゆっくり息を吸う
出典:youtube.com ※写真はイメージです
深呼吸の基本は、腹式呼吸です。
お腹を膨らませるように、ゆっくり鼻から息を吸います。
ベルトなどでお腹が締め付けられているとやりづらいので、緩めるか、ウエストの柔らかい服で行いましょう。
③ 口からゆっくり息を吐く
出典:youtube.com ※写真はイメージです
吸ったときよりもさらにゆっくり口から息を吐きましょう。
お腹を凹ませていくイメージを持つと良いでしょう。
口は大きく開けるのではなく、口をすぼめてフーと吐くイメージです。
深呼吸の肝は、息を吐くことにあります。吸った息以上に吐くような感じで、全ての息を吐ききりましょう。
● 義務感を感じないように、気づいたときにやる
深呼吸の目的はあくまでリラックスすることですので「一日に必ず何回やるとか何時から始める」といったことを考えずに、思いついたときにやるようにしましょう。
「朝起きたら」「お昼の休憩の時に」「トイレに入ったとき」「電車を待つ間に」など一日の中にあるほんの少しの隙間時間でも簡単にできますので、気持ちを楽にして行いましょう。
一日の中で沢山やればやるほど効果がありますので、いつでもやって頂きたいのですが、特におすすめしたいのは夜寝る直前です。
副交感神経は寝るために必要なリラックス効果を沢山発揮してくれます。
一日の最後にその日の出来事を振り返りながら、深呼吸の時間を作ってみてはいかがでしょうか。
有酸素運動をする
ウォーキングやストレッチなど、ゆっくり身体を使う運動は副交感神経を優位にしてくれる効果があります。
「疲れた」よりも「心地よい」と思うような運動が良いでしょう。
息が上がるような激しい運動は、交感神経を刺激するので逆効果になります。
夜更かしをしない
自律神経は、交感神経と副交感神経が交互に機能してバランスを保っています。
夜更かしをすると、本来は副交感神経が働かなければならない時間帯に交感神経が働いてしまい、どんどん自律神経のバランスが崩れてしまいます。
朝起きたら太陽の光を浴び、身体に今起きたことを教えましょう。
寝る前には間接照明などで照明をやや暗くすることで、これから寝るんだと身体に知らせることで、自律神経のサイクルがスムーズに行われます。
ぬるめのお湯に浸かる
運動の習慣がない方は、こちらがおすすめです。
40度以下のお湯にゆっくり浸かって、身体と心をリフレッシュしましょう。
41度以上のお湯では、身体が興奮して交感神経が優位になってしまいますので注意しましょう。
好きなことをする
極論ですが、適度に自分の好きなことをしてストレスを貯めないようにするのが一番です。
映画でも、カラオケでもなんでも良いです。自分のペースで発散できる何かを見つけましょう。
4. まとめ
日常で全くストレスを感じない方はいないはずです。
今は顎ニキビの症状があまりないという方も、すこしずつ積み重なったストレスが、いつか自律神経の乱れを引き起こしてニキビができてしまうかもしれません。
一度出来るとなかなか治りにくいのが顎ニキビの特徴ですから、日々のストレスは定期的に発散しましょう。
また、顎ニキビに悩むストレスもさらなる自律神経の乱れに繋がります。
ニキビが気になるかもしれませんが、なるべく心と身体をリラックスさせた状態を心掛けていきましょう。