緊張や不安を感じると手汗が止まらなくなってしまうと悩んでいるという方は多いです。
大事な書類が濡れてしまったり、大切な人とのデートなのに手をつなぐことを躊躇ってしまったりするのは、残念な気持ちになりますよね。
今回はそんな方たちに向けた、手汗を止めるための方法をいくつかご紹介します。
今すぐできるツボ押しマッサージから、手汗の最新根治治療まで幅広く説明していきますので、手汗で悩む方はぜひ参考にしてくださいね。
1. 手汗の原因
まずは、手汗が出てくる原因から見ていきましょう。
人が汗をかくメカニズムは、大きく「温熱性発汗」と「精神性発汗」の2つに分けられます。
● 温熱性発汗
人間は体温を一定に保つことのできる恒温動物なので、外気温や運動によって体温が上昇するとそれを下げようとして全身から発汗します。
それが、温熱性発汗です。
もちろん、手のひらも例外ではありません。
また、緊張や恥ずかしいといった感情によって身体が火照ることでも汗をかきます。
しかしこの発汗は誰にでも起こる当たり前の生理的な反応で、体温が下がれば自然と汗は引いていきますので、あまり問題視はされません。
● 精神性発汗
特に身体が暑いわけでもないのに手汗が止まらない、という方はおそらくこちらが原因です。
発汗をコントロールしているのは、「交感神経」と「副交感神経」からなる自律神経です。
交感神経が優位に働くと気持ちが興奮し発汗が促され、副交感神経が優位に働くと気持ちがリラックスして汗は引いていきます。
この二つがバランス良く機能していれば、手汗も気になるほど分泌はされません。
しかし、何かのきっかけで交感神経が優位に働く時間が長くなってしまうと、手汗がたくさん分泌されてしまいます。
ここでは交感神経が優位になる原因として、主な2つを紹介しましょう。
① ストレス
人間は、不安や緊張などの精神的ストレスを感じると交感神経が刺激されます。
日頃からストレスの多い生活をしている方は要注意です。
ストレスを発散できる自分なりの方法を見つけておくことをオススメします。
また、手汗が出ていることを気にしすぎるのもストレスの原因になってしまうので、難しいかも知れませんがあまり気にしないというのも大切なことです。
睡眠不足や昼夜逆転などの生活も交感神経を刺激する原因になるので、なるべく規則正しい生活を心掛けて、心身をリラックスさせてください。
② ホルモンバランスの乱れ
女性の場合、月経や妊娠・思春期や更年期などの年代によっても、ホルモンバランスがどんどん変わっていきます。
特に、女性ホルモンの分泌の指令を出す部分と交感神経を司る部分は同じ場所なので、ホルモンバランスが乱れると自ずと自律神経のバランスも崩れていきます。
ホルモンバランスは時期によってある程度乱れてしまうのは仕方が無いのですが、規則正しい生活や食生活などを見直して、なるべく安定するように心掛けることが大切です。
2. 手汗を止める方法
それでは、手汗を止める方法を順に紹介していきましょう。
ツボ
まずは、簡単にすぐ実践できる手汗に効くツボ押しを紹介します。
① 合谷(ごうこく)
まずは、合谷というツボを紹介します。
合谷は、気持ちを静めるツボで、不安や緊張などの精神的なストレスで出る手汗を抑えるのに効果があります。
場所は手の甲側にある親指と人差し指の間のくぼみの部分です。
反対の手の親指で押すのが基本姿勢になります。
爪を立ててしまうと刺激が強すぎるので、指の腹で押すように意識しましょう。
押すときには、親指意外の4本の指で反対側から支えて挟むようにするのもコツになります。
ツボ押し棒やボールペンの鋭利でない方を使って押すのも効果的でしょう。
痛気持ちいいというくらいの強さで3秒ほど押し、一度力を抜いてまた3秒ほど押します。
それを、左右それぞれ5回ほど行ってください。
また、温めるだけでも効果があるので、ドライヤーの温風や温めたタオルなどを当てるのも良いでしょう。
② 労宮(ろうきゅう)
労宮は、手のひらの真ん中あたりにあるツボです。
手を握ったときに中指の爪が当たる場所を目安にしてください。
労宮を押すと、副交感神経の働きが活発になり、気持ちがリラックスする効果があります。
反対の手の親指の腹で、痛気持ちいいくらいの強さで10回ほど押してください。
力を緩めるときも、労宮から親指を離さないようにするのがコツです。
労宮も温めるだけで効果がありますので、合谷と同様に温めると良いです。
手汗を抑えるストレッチ
ツボ押しを取り入れた簡単なストレッチです。
① 手首のシワの小指側を反対の手の親指で3回押す(左右とも)
これは神門(しんもん)というツボで、イライラなどのストレスを鎮める効果があります。
② 親指と人差し指の付け根を押す(左右とも)
これは、さきほど紹介した合谷です。
③ 腹式呼吸をする
2秒かけて鼻から息を吸ってお腹を膨らませ、4秒かけて鼻から息を吐いてお腹を凹ませます。
このような深くゆっくりとした呼吸は副交感神経の働きを活発にさせ、気持ちがリラックスしてきます。
少し緊張してきたな、と思ったらこのストレッチを思い出してください。
ツボ押しは簡単にできる反面、一気に手汗が引いていくというような即効性はありません。
日頃から押す癖を付けておいて、常にツボの効果を発揮できている状態にしておくのが大切です。
また、「このツボを押せば自分は安心できる」と思い込むことも非常に有効です。
自分の気持ちを落ち着けるルーティンとして、今回紹介したストレッチやツボ押しを利用してみてください。
病院で治療を受ける
「どうしても手汗が止まらない」「すぐにでも治したい」という方は病院で治療を受けることも選択肢の一つです。
基本的には、多汗症の方は皮膚科の受診になります。
ただし、明らかに強いストレスやどうしようもない不安が原因だと感じたときは、心療内科や精神科の受診もおすすめします。
病院での治療はツボ押しとは違いお金や通院の手間はかかりますが、確実に一定の効果が見込めるのが嬉しいところですね。
ここでは、手汗治療には一体どんなものがあるのか紹介していきます。
① 塩化アルミニウム外用制汗剤
塩化アルミニウムは脇などの制汗剤の主成分としても市販されており、汗腺に一時的に炎症を起こすことで塞ぎ、発汗を抑制する効果があります。
夜に制汗剤を手の平に塗って寝て翌朝に洗い流すことで、日中の手汗を抑制できるという治療法です。
病院の治療でも比較的安価で、塩化アルミニウムさえ買ってくれば自宅でも簡単にできるのが特徴です。
しかし、人によっては制汗剤が肌に合わない場合もありますので、不安な人は医師とよく相談しながら行いましょう。
② イオントフォレーシス
出典:nikibi-sakuraaz.com
イオンフォレトーシスは、微弱電流を流した水に手を20分ほど付けるだけの手軽な治療法です。
メカニズムとしては、汗腺の動きを微弱電流で弱めることで発汗を抑制しています。
効果も高く、およそ8割の方に手汗抑制効果があると言われているのですが、根本的な治療ではないため定期的(個人差によって1,2週間に1回程度)に通院する必要があります。
しかし、注射や手術が少し恐いという方には非常にオススメできる治療法です。
また、保険が利くので治療費も1回あたり600円程度と安価であるのも嬉しいところ。
また、イオントフォレーシス専用の機械を購入すれば自宅でも治療が可能です。
ネットオークションなどでは2万円程度で購入できます。
一度購入すればあとは水道水さえあれば良いので、通院が面倒だという人は検討してみてはいかがでしょうか。
手汗手術
手汗の根本的な治療として現在一番広まっているのは、ETS手術と呼ばれるものです。
脇の下から内視鏡と電気メスを進めて、手の平の汗腺に繋がる交感神経を切断するという手術になります。
脇の下に数ミリの傷ができるだけなので、見た目を気にする方でも安心して受けて頂くことができます。
ちなみに手術の所要時間は数十分程度で、入院も必要ありません。
また、ETS手術は保険適用されており、自己負担は10万円程度になります。
永久的に手汗が出なくなることがメリットですが、副作用として「代償性発汗」とうい症状になることがあります。
簡単に説明すると、手汗の代わりに他の部分から汗が大量に出てくるということです。
症状の重さには個人差があり、人によっては日常生活に支障をきたすレベルの代償性発汗も起こってしまうようです。
最近ではその代償性発汗を抑えるための別の手術もあるようですが、ETS手術を受ける際にはしっかり検討してからにしましょう。
ビューホット
ETS手術の代わりになるような、手汗の新しい根治治療法がこのビューホットです。
ビューホットは手の平に細い針を刺し、そこから高周波の電磁波を出して汗腺を焼き切る治療法になります。
ETS手術のように交感神経を切る必要がないので、副作用として代償性発汗が起こらないのが大きなメリットです。
しかし、代わりにビューホットは保険適用外の治療になるので、費用が数十万円と少し割高になっています。
さらに、まだあまり普及していない治療法なので習熟した医者も少なく、今後予期しない副作用が起こる可能性もありますので、施術の際にはよくご相談ください。
ただ、今後の発展に大きな期待が持てる治療法であることは間違いありません。
3. まとめ
いかがでしたでしょうか。
まず大切なのは、手汗を気にしすぎずになるべく心を落ち着かせて過ごすことです。
気がついたらツボを押して、普段の生活も規則正しく見直していきましょう。
気持ちが落ち着いていけば、徐々に手汗も気にならなくなっていくはずです。
しかしそれでもどうしても手汗が気になるという方は、病院で適切な処置を受けましょう。
今では、ほとんどの方に期待した効果が得られる治療法が確立していますので、考え込む前に一度診察を受けてみるのも、オススメですよ。